前回の投稿でも少し触れましたが、新規事業を立ち上げるのに意思決定の軸となる「ミッション・ビジョン・バリュー」を決めておくことが、メンバー内で納得感の高い意思決定につながることを紹介しました。
今回は、新規事業の立ち上げで活用できる 「ミッション・ビジョン・バリュー」 の検討方法をご紹介します。
ミッション、ビジョン、バリューとは？
「ミッション・ビジョン・バリュー」とは、「現代経営学」や「マネジメント」の第一人者として知られる経営学者のピーター・F・ドラッカーが提唱を始めました。
企業の存在意義や社会的正当性を示すために必要となるのが「ミッション・ビジョン・バリュー」です。
ドラッカーは、著書の「ネクスト・ソサエティ」で 「ミッション・ビジョン・バリュー」を以下のように解説しています。
ミッション
「ミッション」とは、果たすべき使命、存在意義、自社が存在する目的のことを言います。言い換えれば、ミッションとは、企業が大事にする変わらぬ価値観とも言えます。
ドラッカーは、組織が最初に行うべき仕事は「リーダーが組織のミッションを考え、定義すること」だと言っています。
ビジョン
「ビジョン」とは、「目指す理想の姿」です。将来的にどのような姿、存在になりたいのかを示すことで、未来を具体的にイメージさせ、社員を同じ方向に向かせることができます。また、未来のイメージを共有することで、事業や組織へのコミットメントを強化することができます。
バリュー
バリューとは、「価値基準」のことを指します。組織のメンバーがビジョンを共有し、ミッションを実現していくには、「自社の価値基準」が明確である必要があります。
企業が顧客に与える価値、サービスとはなんなのかを考え、行動の基準とする考え方です。
新規事業開発でミッション/ビジョン/バリューがなぜ重要なのか
新規事業チーム内で意見がわかれた場合などの行動指標になります。新規事業は「不確実性」が高く経験値がバイアスになってしまうこともあります。役職者や経験者の意見が正しいとも限りません。なので最初に「ミッション、ビジョン、バリュー」を取り決めることで、チーム内で意見がわかれた場合などにチーム内で納得感の高い意思決定につなげられます。
また、新規事業で「ミッション、ビジョン、バリュー」を取り決めることで、社内だと役員などの最終意思決定者と「ミッション、ビジョン、バリュー」を握ることで、その範囲であれば新規事業チームとして意思決定できるようになります。また、社内/社外の関係者に存在意義や価値を理解してもらいやすくなります。
採用活動においても、「ミッション・ビジョン・バリュー」の意思表示は効果的です。求人情報に掲げることで、同じ思いを持つ人材が集まりやすくなります。
ミッション、ビジョン、バリューの検討方法
ミッション、ビジョン、バリューの言葉通り「 ミッション 」→「 ビジョン 」→「 バリュー 」の順で検討するのが一般的です。
新規事業のミッション、ビジョン、バリューの検討は、できるだけ多くのメンバーで検討することが望ましいと思います。 なぜなら、先にも述べたように新規事業ではミッション、ビジョン、バリューが意思決定の最後の拠りどころとなるからです。
そもそも、 ミッション、ビジョン、バリューに納得感がないと、後にミッション、ビジョン、バリューをもとに意思決定したことにも納得感がなくなってしまいます。
ミッション、ビジョン、バリューの事例
日本企業の代表的なミッション・ビジョン・バリューをご紹介します。
トヨタ自動車
ソニーグループ
ソニーグループはミッション・ビジョン・バリューに近い「Sony’s Purpose & Values」を作成して公開しています。
Purpose存在意義
クリエイティビティとテクノロジーの力で、
世界を感動で満たす。
Values価値観
夢と好奇心
夢と好奇心から、未来を拓く。
多様性
多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。
高潔さと誠実さ
倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。
持続可能性
規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。
ちなみにSony’s PurposeはYouTubeで動画も公開されています。
ソフトバンク
経営理念
情報革命で人々を幸せに
ビジョン
「世界に最も必要とされる会社」を目指して
バリュー
努力って、楽しい。
行動指針
「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」
NTTドコモ
まとめ
今回は新規事業開発でのミッション・ビジョン・バリューの重要性や意味/意義と作成方法と日本を代表する企業のミッション・ビジョン・バリューをご紹介しました。
新規事業の検討ではビジネスアイデアや事業計画などが注目されがちですが、新規事業検討初期にミッション・ビジョン・バリューを策定しておくことで、 メンバー内で納得感の高い意思決定につながる確率が高まります。
是非、検討してみてください。
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