最近、小学校6年生の娘から学校で「SDGs」について調べて、Googleのプレゼンテーションツールである「Google スライド」で発表資料を作成して発表するとのことで、資料づくりを相談されました。
ビジネスの場でも営業職や企画職だけでなく、幅広い職種でプレゼンテーションの機会があります。プレゼンテーションの機会が増える中で、苦手意識を持つ人も多い印象です。
今回は、ビジネス現場で効果的なプレゼンテーションをおこなうための流れやテクニックをお伝えします。
プレゼンテーションとは
プレゼンテーション(Presentation)とは、日本語で「表現、提示、紹介」という意味です。ビジネス用語としては、アメリカの広告業界で使われ始めました。
現在は業界やを問わずさまざまなビジネスシーンにおいて、プレゼンテーションが行われています。
ちなみに「Presentation」の語源は「present」=贈り物です。
プレゼンテーションの目的
ビジネスの現場でおこなうプレゼンテーションの目的は
です。
プレゼンテーションまでの流れ
プレゼンテーションが決まるとデータや参考資料などを集めはじめてしまう人を見かけます。しかし聴き手に行動してもらう効果的なプレゼンテーションは準備の質で決まると言っても過言ではありません。まずはプレゼンテーションの準備の流れを解説します。
1.プレゼンテーションの目的を明確にする
まずはプレゼンテーションの概要を整理します。
プレゼンテーション概要整理
ここでは5W1Hで考えると整理しやすいと思います。
What(何を):何についてプレゼンするのか?
Whom(誰に):プレゼンの聴き手は?(特に重要な聞き手は?)
When/Where(いつ/どこで):プレゼンはいつ/どこで実施するのか?
Why(なぜ):プレゼンを実施する経緯は?
How(どのように):プレゼンの形式は?
プレゼンテーションの目的設定
5W1Hを整理したらプレゼンテーションの聴き手に、どのような行動をしてもらいたいのかを考えます。ただし1回のプレゼンで話し手が望む行動を聴き手にとってもらうのは難しいケースもあります。
例えば高額サービスの営業商談でのプレゼンであればプレゼンテーションの目的は『聴き手に契約を決めてもらいたい』になると思います。ただ数億、数十億円の契約を目指すような場合は1回の商談で聴き手に契約を決断してもらうのは難しいと思ってよいでしょう。
このような場合は、何回かの商談を経て契約を決めてもらうわけですが、私の場合は1回1回のプレゼンテーションで小さな目標を設定するようにしていました。
例えば1回の商談が担当者向けのプレゼンテーションだとすると、1回目のプレゼンテーションの目標は「次回商談を設定して、役員クラスの同席を調整してもらう」などです。
2.聴き手について調べる
プレゼンテーションの目的を明確にしたら、プレゼンテーションの聴き手に関して調べます。
例えば社内の役員会などであれば、次回の役員会には「誰が参加するのか?」「各役員の最近の興味関心事項は?」重要なプレゼンテーションであれば、参加予定の役員の管轄している部門の同僚などに近況をヒアリングしたりします。
また重要な商談などでのプレゼンテーションでは、相手のことを調べます。「1.目的の設定」で例に出した高額サービスの商談で2回目の役員プレゼンテーションの機会をもらえたとします。このような場合、担当者は契約に対して前向きな状態だと言って良いでしょう。まずは担当者の要望や希望をヒアリングして、担当者の要望や希望が通るように一緒になって役員にプレゼンテーションする雰囲気を醸成します。
担当者が味方になってくれたら、対象の役員に関して情報を提供してもらいます。このように書くとスパイをしてもらっている印象を持つ方もいるかもしれませんが、企業秘密や機密情報を聞き出すわけではありません。役員の重視していること(例えば「コストを厳しく見るタイプ」とか逆に「リターンが明確なら投資には積極的なタイプ」など)、役員の経歴、役員への事前報告などはしたのか?その時に反応は?などなどです。
また商談などの場合は、聴き手のことだけではなくて、聴き手が所属する企業や業界のことも最低限調べます。商談企業が上場企業ならIRなどの情報などで
3.何を伝えるか決める
プレゼンの目的を明確にして、プレゼンの聴き手のことがわかったら、プレゼンの材料を準備します。私はプレゼン材料の準備では下記の手順ですすめます。
- 伝えたい情報を洗い出す
- 伝えたい情報に優先順位をつける
- 伝えたい情報に対して聴き手が疑問などを持ちそうな点を整理する
- 聴き手の疑問に対する回答を用意する
- 「伝えたいこと」や「疑問に対する回答」の根拠となるデータなどを揃える
4.どのように伝えるかを決める
プレゼンテーションの材料が揃ったらプレゼンのストーリーを設計します。
プレゼンテーションのテーマ、目的、聴き手によって適したストーリーは違いますが、ストーリー設計のコツをいくつかご紹介します。
プレゼンテーションの最初で聴き手の興味をひきつける内容を入れる
お笑い芸人さんの「つかみ」と同じように、最初に聴き手にプレゼンに興味を持ってもらわないと、どんなに良い内容でも聴き手に聴いてもらえません。
時間配分は聴き手の興味が強い順を意識する
文字にすると、当たり前ですが意識しないと「話し手が伝えたいこと」が中心になってしまいます。もちろんプレゼンの目的にもよりますが、聴き手が興味があることを話さないと、そもそもプレゼンテーションへの興味が下がってしまうので注意が必要です。
またストーリーを整理する時に活用できるフレームワークが「ピラミッドストラクチャー」です。
ピラミッドストラクチャー
プレゼンは聴き手に、自分が言っていることを正確に理解してもらうことが必要です。伝えたいことと、その根拠が整理されていると、聴き手の理解は格段に高まります。
5.資料を作成する
何を、どのように伝えるか、が決まったら資料作成を開始します。材料が揃っていれば下記のコツを押さえれば
1スライド1メッセージ
プレゼンテーション資料の基本は「1枚のスライドに伝えたいメッセージは1つ」です。
下記はソフトバンクの決算資料ですが「売上高が12%増えた」ことを伝えたいのだなと、すぐに理解できます。
出典:ソフトバンク決算資料
グラフもしくは写真を挿入する
文字だけの資料よりも視覚的に理解できるような「グラフ」や「写真」を挿入した方が聴き手の理解度を高めやすくなります。
文字の大きさ(24ポイント以上)、行間や余白
資料を投影するようなプレゼンテーションの資料では、文字の大きさは24ポイント以上が望ましいと思います。最低でも18ポイント以上にしないと見えないケースがあります。
※上のソフトバンクの決算資料でも注記など以外は、このルールに沿っていると思います。
色の使い方
プレゼンテーション資料では「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」の3色程度で作成することをおススメします。
ソフトバンクの決算資料では「白」がベースカラーで「灰色」がメインカラー、「紺」がアクセントカラーになっています。
メインカラーにはコーポレートカラーなどを使用するケースがありますが、その場合は補色(下記のようなカラーパレットで反対の位置にある色)にすると目立ちます。
6.プレゼンテーションの練習
プレゼンテーション資料の作成は、プレゼンテーション本番を意識して練習しながら、すすめていきます。実際に口に出して練習してみると論理展開に矛盾を感じたり、飛躍を感じたりすることがあります。
プレゼンテーションの時間が決まっている場合には、時間通りにプレゼンテーションができるかも、確認しておかないと、全ての資料を作成した後に、時間に収まらないから数スライドを削除しなければならなくなってしまったりします。
プレゼンテーション
プレゼンのコツ
ゆっくり話す
緊張していると無意識に早口になってしまうことがあります。なのでプレゼンテーションでは、意識して「ゆっくり話す」と良いと思います。また大事なことを言う前に意識的に「間」をとることなども効果的です。
聴き手に視線を向ける
プレゼンの注意点
癖に気をつける
スティーブ・ジョブズやTEDのプレゼンターなどは、ポケットに手を入れて話したり、歩き回りながら話すしとがいます。彼らのように聴衆も「聴きに来ている」ようなケース以外は、聴き手に緊張感や悪い印象を与えないように癖などに気をつけてプレゼンテーションするのが、良いと思います。
緊張した時に出やすい癖
- 片足に重心をかけてしまう
- 腕を組む(前で組み、後ろで組む)
- 手などをブラつかせる
- 無意識に腕時計を見る
- 頭を掻く
- 鼻を触る
その癖が頻繁に出ると、聴衆に「落ち着きがない」「動揺している」「偉そう」などと思われてしまいます。
ひげ言葉に気をつける
意識せずにプレゼンテーションをすると、プレゼンテーションとは直接関係がない「えー」「あのー」など「ひげ言葉」と言われる言葉を発してしまうことがあります。
この「ひげ言葉」が頻繁に出ると、聴衆は気になってプレゼンテーションの内容が入ってこなくなってしまうことがあります。
専門用語を使用しすぎない
聴き手によっては専門用語を使用した方が良いケースもありますが、聴き手が知らない言葉があると、それ以降の説明は聞いてもらえなくなってしまうリスクがあります。聴き手が専門的な言葉を理解していることが事前に、わかっている場合以外は専門用語は使用しない方が無難です。
プレゼンの見本
トヨタ自動車の豊田章男社長のプレゼン
ソフトバンクの孫正義社長のプレゼン(ちょっと古いですが…)
プレゼンの参考になる書籍
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まとめ
今回は、ビジネス現場で効果的なプレゼンテーションをおこなうための準備の流れやプレゼンテーションテクニックをご紹介しました。
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