「マーケティングの神様」「近代マーケティングの父」などと呼ばれるマーケティング界の第一人者であるフィリップ・コトラー氏が、著書『マーケティング4.0』で提唱しているのが5A理論です。
今回は5A理論とは何か、AIDMA・4Aとの違い、 5Aカスタマージャーニーの活用方法などについて徹底解説します。
5Aカスタマージャーニーとは
「カスタマージャー二ー(Customer Journey)」とは
カスタマージャーニーとは、「顧客が製品・サービスとのかかわりの中でたどる一連のプロセス」を「旅」と捉えて、顧客の実態を把握したりするために活用するフレームワークです。
「カスタマージャーニー」におけるジャーニーとは、顧客の購買行動における「旅程=CX(顧客体験=Customer Experience)」のことです。
カスタマージャーニーの変遷
AIDMA
AIDMAは、サミュエル・ローランド・ホールが提唱した購買までのカスタマージャーニーです。商品やサービスの必要性や購買意欲を認知し、購入するという行動までの流れを示しています。
1. 注意(Attention):顧客の注意を引く
2. 興味(Interest):商品に関心を持ってもらう
3. 欲求(Desire) :欲求を掻き立て購買意欲が高まる
4. 記憶(Memory):「商品を買う」と記憶する
5. 行動(Action):商品・サービスの購入・申し込み
AISAS
AISASは電通がが提唱したカスタマージャーニーで、インターネット上で消費者がある商品を認知してから購買に至るプロセスを示しています。
1.注意(Attention):顧客の注意を引く
2.関心(Interest):商品に関心を持ってもらう
3.検索(Search):商品を検索して調べる
4.購買(Action):商品・サービスの購入・申し込み
5.情報共有(Share):商品・サービスの利用体験を共有
4A
4Aは、デレク・ラッカーが提唱したカスタマージャーニーで、購入後の再行動が示されています。
1. 認知(Awareness):商品・サービスを知る
2. 態度(Attitude):商品に興味を持ち購買意欲が高まる
3. 行動(Action):商品・サービスの購入・申し込み
4. 再行動(Act again):リピートして商品・サービスを購入する
5A理論
5A理論は、フィリップ・コトラーが提唱するデジタル社会におけるカスタマージャーニーを再定義し、“AIDMA”に変わるカスタマージャーニーとして提唱されました。AISASと近いカスタマージャーニーです。
1. 認知(Aware):商品・サービスを知る
2. 訴求(Appeal):商品を識別・記憶する
3. 調査(Ask):評価や口コミを調査する
4. 行動(Action):商品・サービスの購入・申し込み
5. 奨励(Advocate):他者へ薦める
AIDMA型や 4A型のカスタマージャーニーでは「商品・サービスの購入・申し込み」がゴールとして設定されていましたが、5A型のカスタマージャーニーでは、 必ずしも「商品・サービスの購入・申し込み」 がゴールではありません。
もちろんビジネスですから最終的には「売上・利益」を上げる必要がありますが5A型のカスタマージャーニーでは「奨励(Advocate)」してくれることを重要な指標と考えます。
必ずしも商品・サービスを購入・申し込みしてくれないユーザーも他者に薦めてくれるユーザーは5A型のカスタマージャーニーでは重要なユーザーです。
5Aカスタマージャーニーの活用方法
5Aカスタマージャーニーの活用方法としてはカスタマージャーニーマップの作成があります。詳しくは「カスタマージャーニーマップの作り方を徹底解説!(事例あり)」でご紹介しています。
事例
リッツ・カールトン
5Aカスタマージャーニーを活用する上で参考になる事例としては世界トップランクのラグジュアリーホテル「リッツ・カールトン」のクレドによる顧客体験が有名です。
リッツ・カールトンでは各従業員に1日「2000ドルの決裁権」が認められているそうです。 従業員は、自分の判断で行動することができます。 お客様のわずかな言葉や態度を見逃さず、先読みをしてタイミングよくサービスを提供する。 その決済権を従業員一人ひとりに与えることで、迅速かつ的確なサービスを生み、お客様に「感動」を提供するのです。
この各従業員が提供するサービスが感動を呼び、リッツ・カールトンの素晴らしさを「奨励(Advocate)」してくれるわけです。
Paypay
QR・バーコード決済サービス「PayPay」が実施した100億円キャンペーンも5A観点で成功した事例だと思います。paypayが同事業に最後発で参入したにも関わらず、このキャンペーンは連日テレビのワイドショーなどでも取り上げられ、社会的なムーブメントとなりました。
2022年現在ではシェアNo.1になったばかりか、日本中で「PayPay」決済が利用できます。これはQR・バーコード決済サービスの市場を大幅に拡大させました。
これだけ短期間にQR・バーコード決済サービス、PayPayが拡大したのは、この100億円キャンペーンが口コミやSNSなどだけでなくテレビなどのメディアも巻き込んだ奨励(Advocate)が起きたからではないかと思います。
参考書籍
まとめ
今回は5Aカスタマージャーニーについてご紹介しました。
コメント