みなさんは「カスタマージャーニーマップ」というフレームワークをご存じですか?ご存じの方の中には「作成したことはあるけど、上手く活用できなかった」って方も多いのではないでしょうか?
この記事では、その定義や目的、作り方、そして活用方法などを事例や失敗例などもご紹介しながら詳しく解説します。
また「カスタマージャーニーマップ」のことを知らない人にも、わかりやすい内容になっているので、ぜひ活用して
カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーマップとは、「顧客が製品・サービスとのかかわりの中でたどる一連のプロセス」を「旅」と捉えて、顧客の実態を把握したりするために活用するフレームワークです。
「カスタマージャーニー」におけるジャーニーとは、顧客の購買行動における「旅程=CX(顧客体験=Customer Experience)」のことです。
つまり、カスタマージャーニーマップとは、カスタマーのCX(顧客体験)を可視化したものになります。
カスタマージャーニーマップ作成ステップ
では実際にカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。
1.ペルソナを設定する
カスタマージャーニーマップを作成する前にペルソナを設定します。カスタマージャーニーマップの作成ではペルソナは1つに絞る必要はありません。
製品・サービスをリリース前であれば、ペルソナを1つに絞るべきだと思います。しかし製品・サービスをリリースした後は顧客の購買行動を分析して共通点をグルーピングして各グループごとにペルソナを作成して、そのペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成していきます。
ここでは「InstagramやTikTokでイケてる写真や動画をアップしたいと考えている10代後半~20代前半の女性に向けたサービス」を事例にカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。
ペルソナ(例)
ペルソナシートの作り方はコチラ
2.カスタマージャーニーマップの作成目的とゴールを設定する
ペルソナが設定出来たらカスタマージャーニーマップの作成目的とゴールを設定します。
目的
InstagramやTikTokでイケてる写真や動画をアップしたいと考えている10代後半~20代前半の女性に向けたサービスのプロモーション計画を作成する。
ゴール
ペルソナユーザーとのタッチポイント※を洗い出し、各タッチポイントでのコミュニケーション内容を整理する。
※タッチポイントとは、顧客に製品やサービスに関する何らかの影響を及ぼ情報接点のことです。 企業側から意図的に発信される広告・宣伝のほか、口コミやSNSへの書き込みなど他の顧客が発信した情報も含まれます。
3.カスタマージャーニーマップの縦軸を検討する
まずはカスタマージャーニーマップの縦軸を検討します。
下記の私が作成したカスタマージャーニーマップでは「タッチポイント」「顧客の思考」「顧客の感情」「インサイト」を縦軸として設定しています。
他にも「シーン:(例)自宅のリビング、通勤中、仕事の休憩時間など」や「チャネル:(例)タッチポイントのチャネルをテレビ、新聞広告、交通広告、口コミなど」を縦軸に設定することがあります。特に大規模なコミュニケーション戦略の立案ではチャネルの整理も重要なケースがあります。
4.カスタマージャーニーマップの横軸を検討する
カスタマージャーニーマップの横軸は、顧客の購買行動をステップとして整理します。
横軸としては顧客の購買行動を整理したフレームワークを活用することが一般的です。
上で紹介したカスタマージャーニーマップではAISAS(アイサス)のフレームワークを活用していますが、他にもAIDMA(アイドマ)、AISCEAS(アイセアス)、AIDCS(アイドカス)などがあります。
検討中の製品やサービスの顧客の購買行動が既存のフレームワークに合わない場合は、既存のフレームワークを参考にステップを整理してみましょう。
AISAS(アイサス)
AISAS(アイサス)は電通によって提唱された、デジタルマーケティングにおける購買行動の流れです。以下の内容の頭文字を取ってAISAS(アイサス)と言われています。
- Attention:注意
- Interest:興味関心
- Search:検索・情報収集
- Action:購入
- Share:共有
AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)は、インターネットが普及する前に最も使用されていた消費者の購買行動の流れを整理するためのフレームワークで「AIDMAの法則」と呼ばれています。
AIDMAの法則によると、消費者が物を購入するときには「注意→興味→欲求→記憶→購入」の流れを無意識に行っているとされています。これらの状態の頭文字を1つずつとって「AIDMA(アイドマ)」と言われています。
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
AISCEAS(アイセアス)
AISCEAS(アイセアス)は、AISASに2つのステップが追加されたもの。以下の内容の頭文字を取っています。AISASで、情報収集をした後に「比較」「検討」するステップがプラスされています。
- Attention:注意
- Interest:興味関心
- Search:検索・情報収集
- Comparison:比較
- Examination:検討
- Action:購入
- Share:共有
AIDCAS(アイドカス)
AIDCS(アイドカス)は、以下の内容の頭文字を取って名付けられたフレームワークです。AIDCAS(アイドカス)では、購入して終わりではなく、購入した後に「満足」まで考えることが特徴です。近年、Saas(Software as a Service)サービスなどサブスクリプションモデルのサービスで注目されている「カスタマーサクセス」の考え方も取り入れた最新のフレームワークです。
- Attention:注意
- Interest:興味関心
- Desire:欲求
- Conviction:確信
- Action:購入
- Satisfaction:満足
4.カスタマージャーニーマップの各項目を埋める
縦軸と横軸を設定できたら、あとは各項目の内容を埋めるだけです。
最初に設定したペルソナをイメージしながら、できるだけ具体的な内容にするのがコツです。
カスタマージャーニーマップ作成での失敗例
カスタマージャーニーマップの作成で見られる失敗例として下記のようなことがあります。
- カスタマージャーニーマップの目的やゴールが定義できていない
- 顧客の行動や思考の情報収取が十分ではない
カスタマージャーニーマップを作成するにあたり、「ペルソナシートの作り方を徹底解説!(事例あり)」でも紹介しましたユーザーインタビューなどで、リアルな声から「顧客の思考や行動」を把握したうえでカスタマージャーニーマップを作成しないと作成する意味が薄れてしまいます。
カスタマージャーニーマップと併せて活用したいフレームワーク
併せて活用したいフレームワークに共感マップがあります。
共感マップとは、「ペルソナが見たり・聞いたり・考えたり・感じたりしていることを整理することで、顧客の課題を整理するフレームワーク」です。
共感マップに関しては「共感マップの作り方を徹底解説!(事例あり)」で詳しく解説しています。
まとめ
今回は、「カスタマージャーニーマップ」の定義や目的、作り方、そして活用方法などを事例や失敗例などもご紹介しながら解説しました。
「カスタマージャーニーマップ」は製品、サービスの企画段階はもちろん、製品やサービスをリリースした後も定期的に修正することが重要です。またペルソナユーザーごとに「カスタマージャーニーマップ」を作成する必要があります。
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