大企業でも新規事業創出の機運が高まってきています。
今回は知名度の高い有名企業の新規事業提案制度を現役イントレプレナー(社内起業家)のシマダオが紹介します。
リクルート
概要
Ringとは、リクルートグループ会社従業員を対象にした新規事業提案制度です。
日本企業の新規事業提案制度では、最も知名度の高い新規事業提案制度だと思います。
『ゼクシィ』『R25』『スタディサプリ』など誰もが知る新規事業を数多く創出しています。リクルートの新規事業制度は、1982年に「RING」としてスタートし、1990年「New RING」と改定、そして2018年「Ring」にリニューアルしています。
リクルートグループの従業員であれば誰でも自由に参加することができ、テーマはリクルートの既存領域に限らず、ありとあらゆる領域が対象です。
リクルートにとって、Ringとは「新しい価値の創造」というグループ経営理念を体現する場であり、
従業員が自分の意思で新規事業を提案・実現できる機会です。
選考フロー
Ringの選考フローは書類審査からはじまり役員が参加する2次審査、社長や役員が参加する最終審査で選考されます。
事業化開発手法
Ringを通過した案件は、事業化を検討する権利を得て、事業開発を行います。
さまざまな事業開発の手法がありますが、例えば既存領域での事業開発の場合は、担当事業会社内で予算や体制を構築することもありますし、領域をまたぐ案件の場合は、大きな横断組織を発足させて事業化検討を継続することもあります。
また、全く新しい領域での事業開発チャレンジにおいては、段階的に予算やリソース・サポートをコントロールしてテストマーケティングを行う、スケージゲート方式を採用しています。
リクルートの新規事業提案制度から生まれた事業
スタディサプリ(事業化当時は「受験サプリ」)
スタディサプリは2011年10月に会員制の無料受験情報サイトとして開設されました。初期はセンター試験の過去問や東大生によるオリジナル解説などを提供していました。
サービス開始から1年後の2012年10月にスタートフォンやパソコンを利用するオンライン予備校サービスを展開すると発表し、現在のスタディサプリの原型サービスをリリースしている。
2013年3月に5教科8科目の全講義を月額980円で無制限で視聴できる形に料金体系が刷新され、一気にユーザー数を拡大させました。
2020年9月にコロナ禍でゼクシィ、ホットペッパーグルメ、じゃらんなど既存事業が苦戦する中で有料会員数が140万を突破してリクルート社にとっても重要な事業に育っています。
スタディサプリを立ち上げた山口文洋氏(現リクルートマーケティングパートナーズ 代表取締役社長)の新規事業創出の裏話はコチラ
スタディサプリ以外にも『ゼクシィ』『R25(現在はサービス終了)』もRingから生まれています。
お薦め書籍
Ringから生まれた事業ではないようですがHot Pepperの事業を創出した平尾さんの「Hot Pepper ミラクル・ストーリー 事業マネジメントを学ぶための物語」は何度も読みました。「ここまで書いて良いの?」と心配になるくらい事例をもとに新規事業の立ち上げに関して書かれている本です。
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パーソル
概要
グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現に向け、日本のはたらくをアップデートするイノベーターをパーソルが創出する新規事業開発プログラムです。
このプログラムは、法人ではなく”個人”を対象とし、パーソルグループの事業やサービスの豊富なアセットとノウハウの活用、ビジネス実装とスケールアップ支援、そして賞金や立ち上げ予算などの資金提供を通じて、“はたらく”に関する社会課題解決のための新規事業を創出すると共に、5年間で1,000人の“イノベーション体質人材”の輩出を目指しています。
選考フロー
パーソルの新規事業開発プログラム「Drit」は1次審査、2次審査、最終審査と3段階の審査フローとなっています。
事業化開発手法
採択されたアイデアは、賞金や立ち上げ予算などの資金提供に加え、パーソルグループが持つ豊富なノウハウを活かしたビジネス実装・マーケティング支援、プロダクト開発を加速させるスケールアップ支援、そしてHRに関するビックデータの活用などを通じ、事業立ち上げフェーズまでを全面バックアップします。
パーソルの新規事業提案制度から生まれた事業
i-common
i-commonとは、経営課題解決に取り組む企業向けに、事業会社やアカデミアで経験を積んだ上級役職者やテクノロジーに精通した専門家を、アドバイザーとして提案するコンサルティングサービスです。
顧問、専門家のプロ人材紹介サービス - HiPro Biz [ハイプロ ビズ]HiPro Bizミイダス
転職アプリのミイダスは経歴や経験・スキル情報から自分の市場価値をデータ分析して、あなたを求める企業から直接オファーが届くサービスです。また、「自分のビジネスマンとしてのスキル」や「パーソナリティ」を診断・分析することで、より自分にフィットしたオファーを受け取ることができます。
可能性診断を用いた転職ならミイダス | 転職者向けサイトミイダスは職務経験やスキル情報、適性からあなたの強みを診断する転職アプリです。入力された情報をもとに、あなたにフィットする企業から直接、年収確約・面接確約のスカウトが届きます。
三菱商事
概要
三菱商事の新規事業提案制度に関する情報は社外には積極的に情報を開示していないようです。(新規事業提案制度はないのかな…?)ただ三菱商事の新規事業として有名なのが“Soup Stock Tokyo”です。創業者の遠山さんのインタビュー記事を読むと新規事業の立ち上げ事例として参考になります。
三菱商事の新規事業提案制度?から生まれた事業
新規事業提案制度ではないのかもしれませんが、三菱商事初の社内ベンチャー企業として設立されたのが「株式会社スマイルズ(Soup Stock Tokyoなどの運営会社)」です。08年、MBOにより株式100パーセントを取得して三菱商事から独立しています。
住友商事
概要
住友商事の新規事業提案制度『0→1チャレンジ』は2018年度に開始した、公募型の社内起業制度です。3年単位の中期計画において、次の成長事業の柱を作るため新規事業へのチャレンジを掲げており、そのうちの1つの施策という位置付けで立ち上がりました。
目的は2つ。1つは純粋に新規事業を開発すること。もう1つは、人材育成・マインドセットの醸成です。これまでも、部門内で新規事業を生み出すためのタスクフォースはありましたが、既存業務からはみ出して新しいアイデアを提案できる場は『0→1チャレンジ』が初めてです。米州、欧州やアジア、中東などグローバルで実施しており、上司の承認も不要。募集テーマも自由で、個人の内発的動機とアイデアから提案出来るのが特徴です。
選考フロー
最初にアイデアを審議する書類選考から始まり、中間ピッチイベントで絞り込みを実施。選ばれた数件の事業案は、約4ヶ月間にわたって業務時間も使いながらPoC等を通じ、ブラッシュアップされます。その後の最終ピッチイベントに合格すると、約1年間をかけて、本格的に専念し事業検証を行うという仕組みです。
※中間ピッチに残る比率:約10%程度
最終段階まで進む比率:2~3%程度
住友商事の新規事業提案制度から生まれた事業
農業関連物流マッチングサービス「CLOW」
介護人材の定着支援サービス「kaigo FIKA」
双日
概要
2019年に始めた新規事業創出プロジェクト、「Hassojitz(ハッソウジツ)」だ。プロジェクトは、藤本昌義社長発案で発足し、経営陣による審査を通過した“発想”は、1年間かけて事業化の道を探ります。
選考フロー
1年に1度、社員から新しい事業アイデアを募集します。応募したすべての社員は、役員に向けたプレゼンを実施し、役員、経営企画部や人事部を中心とした事務局メンバーが審査。審査を通過すれば、チームを組んで1年間本気で取り組めます。
双日の新規事業提案制度に関する記事
東急
概要
社内起業家育成制度
事業を創造する意欲・能力を有する社員を支援し、新規事業創出を通じてチャレンジする企業風土を醸成することを目的に、2015年4月に創設されました。この制度では部署や年齢・役職に関わらず新規事業を提案でき、発案者自らがプロジェクトリーダーとして携わることができます。従業員のフロンティア・スピリットを喚起し、東急グループの活性化と持続的成長を推進するとともに、新たな顧客価値を創造していきます。
選考フロー
東急「社内起業家育成制度」の特徴は、グループ社員まで誰もが応募できることで、契約社員やアルバイトの方も対象です。また一次審査はA4・1枚のエントリーシートのみで、手書きでもかまいません。実はこの制度の目的は事業をたくさん生み出すことではなくて、あくまでも「人材育成」なんです。落選された方全員に面談し、フィードバックするんだそうです。
2次選考の最終審査は社長へのプレゼンです。社長直下のプロジェクトですから、社長が『やろう』と言えば審査通過になるようです。
2次選考を通過すると、提案者は既存事業を離れてイノベーション推進課の所属となり、提案事業の実施に向けて、専任で検討を続けることになるようです。
東急の新規事業提案制度から生まれた事業
NewWork https://www.newwork109.com/
東急の社内起業家育成制度の第1号案件が会員制サテライトシェアオフィス事業「NewWork」です。
私も何度か利用したことがあります。リモートワークが増えたことでニーズは高まっていると思いますが競合も増えたので、鉄道会社だからこその立地優位性など期待したいです。
JR東日本
概要
JR東日本の新規事業提案制度である「ON1000」(オンセン)は、JR東⽇本グループの社員⼀⼈ひと
りが、未来への想いを事業化していくプログラムです。2017 年度に開始したオープンイノベーション型のビジネス創造活動「JR 東⽇本スタートアッププログラム」と並⾏し、JR 東⽇本グループ内からも新事業創出を実現する「ON1000」の実施により、イノベーションが継続的に⽣まれる仕組みをつくり、「変⾰ 2027」の達成を⽬指します。
「ON1000」(オンセン)プログラムの募集テーマは『既存事業の延長線上ではない“非連続”な事業』として、JR東日本グループの社員からアイデアを募り、事業化をめざしています。
選考フロー
応募アイデアは、複数回の審査により、今年度内に優れたアイデアを選考します。
JR東日本の新規事業提案制度から生まれた事業
もっと気軽に子供と外出できる社会を!予約可能なベビーカーのレンタルサービス「ベビカル」
愛犬・愛猫の「健康維持・向上」を目的としたペット総合情報サービスWEBサイト「Pawstep」
観光バスツアーの空席を個人旅行の移動手段として利活用する事業「BUSKIP」
小田急電鉄
概要
小田急電鉄の新規事業提案制度「climbers」は既存の事業や組織の枠組みを超えて、社員が新たな事業の創造にチャレンジすることで、イノベーションをリードする人材の育成、イノベーティブな風土の醸成を図る制度です。
応募者本人が、事業アイデアを出し、事業化までの業務に主体的に取り組んでいただきます(チームでの応募も可能です)。
選考フロー
アイデア創出から事業化までを6つの段階に分けて管理することで、継続的なアイデアのブラッシュアップを行います。各段階に応じた審査・意思決定を経て事業化を目指します。
詳しくはコチラ
小田急電鉄の新規事業提案制度から生まれた事業
狩猟を楽しみたいハンターと獣害に悩む地域をつなぐ事業「ハンターバンク」
サイバーエージェント
概要
サイバーエージェントの社員と内定者が新規事業の提案に挑戦できる新規事業創出プロジェクトが Cycom(サイコン)です。サイバーエージェントにはCycom(サイコン)以外にも「あした会議」「CAJJプログラム」「スタートアップJJJ」など複数の制度があります。
ちなみに2006年に開始した「あした会議」から設立が決まった子会社数は32社にのぼるようです。それら新規事業から累計売上高約2,880億円※、営業利益約405億円※を創出し、事業拡大に寄与しています。※2020年9月末時点
選考フロー
Cycom(サイコン)の選考フローは、最初に書類審査がおこなわれ、書類選考を通過した新規事業案を提案者が創業社長の藤田さんにプレゼンする形で実施されます。プレゼンの模様は社内向けに動画配信されるようです。フィードバックを通して審査のポイントなどを提案者以外の社員も学べる仕組みになっています。
サイバーエージェントの新規事業提案制度から生まれた事業
新規事業提案制度から生まれた事業ではありませんがマクアケもサイバーエージェントから生まれた新規事業です。サイバーエージェントは新規事業を子会社化して若手社員などを社長にするなどイベント的な新規事業提案制度中心ではなく、既存事業の延長としての新規事業で人材育成もしているのだなと感じました。こちらの記事で藤田社長とマクアケ、CyberZの社長との対談されています。
DeNA
概要
「新しい事業をゼロから立ち上げたい」「自分が考えたサービスを実現したい」と言った個人のアイデアを実現するために、DeNAには全社的なインキュベーション・プログラムがあります。このプログラムによって、職種や所属にかかわらず、社員の誰もが新しい事業・サービスの提案をすることができます。
判断基準はただ1つ。
選考フロー
社員からの提案に対して「リーンインキュベーション部」と「事業部長」とで審査を行い、予算をつけるかどうかの判断をするフローです。
事業化開発手法
リーンインキュベーション部が行なう投資は、初期投資額は1,000万円前後までだそうです。
この1,000万円には、手を挙げた自分自身の人件費のほか、オフィスの地代家賃などの販売管理費用も含みます。かなりシビアな金額ですね。
詳しくはコチラ
DeNAの新規事業提案制度から生まれた事業
ライブ動画ストリーミングプラットフォーム「SHOWROOM」
SHOWROOMが生まれた経緯が知りたい方はコチラ
ソフトバンク
概要
ソフトバンクグループの社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」は2011年にスタートしました。グループ代表の孫さんが2010年に発表した‟新30年ビジョン”では、300年成長し続ける企業グループを目指し、戦略的シナジーグループ5,000社の実現を掲げています。前述の戦略的シナジーグループの一端を創出するために社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」が誕生しました。
選考フロー
書類選考から開始され1次選考、2次選考(最終審査)と2回のプレゼンテーション審査があります。初期のソフトバンクイノベンチャーには孫さんも審査員として参加していたようですが現在はソフトバンクイノベンチャー担当の役員の方々が選考しています。
事業化開発手法
最終審査を通過すると予算と事業開発期間が与えられステージゲートを設定して会社設立、事業拡大を支援されます。
ソフトバンクの新規事業提案制度から生まれた事業
HELLO CYCLING https://www.hellocycling.jp/
ソフトバンクの新規事業制度からは自転車シェアリング事業の「HELLO CYCLING」が誕生しています。セブンイレブンと提携しており近所のセブンイレブンの前にHELLO CYCLINGの自転車が置いてあり、利用者も良く見るようになりました。今後の成長にも期待です。
博報堂DYホールディングス
概要
博報堂DYホールディングスでは、広告会社にいながら、新たな領域に飛び込む社員を支える制度として「AD+VENTURE」という博報堂DYグループ横断社内公募ベンチャー制度があります。この制度は2010年に立ち上がり、2019年当時で17の会社と若き経営者たちが誕生しています。
選考フロー
審査・事業化の流れは、エントリーおよびミニプレゼンによる1次審査(エントリー)、事業計画策定およびプレゼンによる2次審査(フェーズ1)、2次審査通過後に設定されるテストマーケティング(フェーズ2)に分かれます。
事業化開発手法
最終審査を通過したチームには、1社当たり数千万円程度の出資金が渡されます。資本金を入れてもらって、会社が設立できるんです。
また最終審査前の、1次審査を通過したチームにそれぞれ100万円程度の調査費が出ます。事業計画作成のための有識者ヒヤリングなどの事前調査や、プロトタイプ制作に使えます。
金銭以外のサポートとしては、一次審査を通過すると、“メンター”と呼ばれるガイドが2名つきます。ガイドは、グループ社員から選ばれた、投資や事業立ち上げなどのさまざまな分野のプロフェッショナル。事業計画に有益なアドバイスやヒントを与えてくれます。
さらに、事業化へと進むことが決定した際には、バックオフィスといわれる会社の事務・管理機能(総務、経理、広報、法務など)博報堂DYホールディングスが持つリソースを使うことができます。会社にとっては必要不可欠な機能ですから、大きなサポートといえるでしょう。
博報堂の新規事業提案制度から生まれた事業
博報堂グループのリソースを使って、大企業とベンチャー企業をマッチングしてイノベーションを創出する「QUANTUM(クオンタム)」
博報堂アイ・スタジオのクリエイターやエンジニアの有志が中心となり、ソリューションのプロトタイプを開発する「[HACKist](ハックイスト)」
テクノロジーを用いたプロダクト起点の事業開発に特化した博報堂のプロダクトイノベーションチーム「monom(モノム)」など
ベネッセ
概要
B-STAGEは、ベネッセグループ従業員全員を対象とした「提案制度」です。
B-STAGEには、新しい事業アイデアを提案できる「新規事業提案部門」と日々の業務の改善点や気づきを提案できる「業務改革提案部門」の2つの応募枠があります。
ベネッセグループの社員がチームに1人いれば、誰でも参加することが可能です。
選考フロー
- 一次審査(書類選考)
- 二次審査
- 最終審査(プレゼンテーション審査)
事業化開発手法
次年度の事業計画に反映されます。
ベネッセの新規事業提案制度から生まれた事業
2021年から開始された制度のため、ありません。
リコー
概要
リコーのアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス) 」は社内外からイノベーターを募り、リコーグループのリソースを活用し新たな価値創造につなげるプログラムです。はたらく人の創造力を支える新しい時代のビジネスアイデアを広く募集します。
選考フロー
- 1次選考:書類選考
- 2次選考:面談選考
- 統合ピッチコンテスト
事業化開発手法
リコーならびに01Boosterのアセットとリソースを活用した支援、およびメンタリング、オフィスの提供、出資などを中心とした支援を行います。ただし、支援内容は確定・一律ではありませんので、個別に協議することになります。
※新型コロナ感染症の状況により施設利用の形式が変更となる可能性があります。
リコーの新規事業提案制度から生まれた事業
リコーバーチャルワークプレイス https://accelerator.ricoh/rvwp/
「リコーバーチャルワークプレイス」は、お客様の任意の空間をVR上で再現し、各自がVRヘッドセットを使ってその空間に一堂に会することが可能なソリューションです。人の存在感、自然な操作、2次元・3次元の情報の共有、質の高いビジュアル、各種データとの連携を活かし、バーチャルなワークプレイス上で、物理的に離れた場所にいる人と自然で自由なコミュニケーションを行う、新しい働き方「リアルよりも便利に働ける世界」を実現します。
パナソニック
概要
パナソニックの社内起業家育成プログラムがGame Changer Catapult (ゲームチェンジャー・カタパルト)です。
選考フロー
選考フローからステージゲート制になっていて、まずはリーンキャンバスをもとにした1次審査があり、通過後はプロトタイピングフェーズがあり、その結果をもとにした最終審査があります。最終審査通過後はPOCを回して、その結果次第で事業化にも進める、というフローになっています。
事業化開発手法
プロトタイピングを作るフェーズでは北米の大規模展示会「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」にも出展出来るような独自の仕組みもあります。
パナソニックの新規事業提案制度から生まれた事業
平日の夕食準備を楽にする つくりおき料理代行プラットフォーム「minacena」
子どものスポーツ映像の自動編集・配信プラットフォーム「Spodit」
ライオン
概要
ライオン株式会社および国内関係会社の従業員を対象に、新しい価値を有する事業を生み出すプログラムが「NOIL」です。2019年4月1日より開始されたプログラムです。ライオン株式会社は2030年に向けた経営ビジョンとして『次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ』を掲げています。「NOIL」では、「ヘルスケアの常識を破る事業」をテーマに、ライオン株式会社および国内関係会社の従業員を対象に、事業アイデアを募集しています。
選考フロー
ワークショップ等でブラッシュアップされた個々のアイデアは、複数回の審査を経て、最終選考にすすみます。選ばれたアイデアの提案者は、テーマ専任の担当となり、実証実験等を経て事業化を目指します。
事業化開発手法
「社員の思いを起点としたアイデア」を外部会社の支援を得てブラッシュアップし、新しい価値を有する事業を継続的に生み出していくことを目指しています。
ライオンの新規事業提案制度から生まれた事業
ご近所シェフトモ
「ご近所シェフトモ」という地域密着型の夕飯テイクアウトサービスで、キャッチコピーは「あなたの街の夕飯おまかせネットワーク」。保育園のお迎えの帰りや仕事帰りに、近所の飲食店で夕食をテイクアウト出来るサービスです。飲食店が作ったバランスの良い家庭料理風の夕食を1日/1食から注文可能です。
起案者の方のインタビューはコチラ
LIFULL
概要
「SWITCH」は LIFULLの社内新規事業提案制度で、子会社グループ会社を含む全従業員、内定者から年間150件以上の新規事業提案がおこなわれています。 LIFULLのホームページでは「SWITCH」と「SWITCHアイデアコンテスト」の2つが紹介されています。
「SWITCH」
事業提案をした社員が自ら事業オーナーとして事業化、子会社化を目指します。
「SWITCHアイデアコンテスト」
事業アイデアを募集する制度です。入賞した事業案は別途事業オーナーを募集し、選ばれた社員が事業オーナーとして事業化、子会社化を目指します。
選考フロー
SWITCHを通じた事業化フローです。LIFULLでは、新規事業案件を4つのステージに分けて社内アクセラレーターがサポートしていきます。
事業化開発手法
入賞したアイデアは、フィジビリティスタディで承認されると事業化され、最短1年から1年半ほどのスピードで子会社として完全に独立。提案者自らが経営に参画することができます。
LIFULLの新規事業提案制度から生まれた事業
花の定期便サービス「LIFULL FLOWER」
農家の生産ロス問題に取り組む「Clean Smoothie」
東京ドーム
概要
東京ドームが実施している新規事業提案制度が「mokuMOKU」です。前身の社内提案制度「ドリカムプロジェクト」では、新規事業のタネとなるアイディアが集まらなかったそうです。
事業化開発手法
社内コンペティションでアワードを獲得した社員には、就業時間の20%のキャパシティを使ってそのアイディアの実証実験を進める制度のようです。新規事業開発室の方のインタビュー記事はコチラ
三菱地所
概要
新事業提案制度「MEIC」
2009年にスタートした新事業提案制度により、広く社員から事業提案やアイデアを募集しています。2021年度からは、コロナ禍による新たなライフスタイルや価値観の登場やあらゆる産業のデジタルシフトなどにより、急速に変化する事業環境を踏まえ、本制度を更に推進するべく、対象をグループ会社にまで拡大し、「MEIC(=Mitsubishi Estate group Innovation Challenge)」という新しい制度がスタートしました。アイデアの磨き上げから事業化に至るまで、事務局がサポートし、その挑戦を後押しすることで、従来の枠にとらわれない、より柔軟な発想により、当社グループの収益多角化・本業強化につながる新事業創出、また、グループを跨いだイノベーションの促進を目指しています。
選考フロー
第1次審査を通過すると起案者が所属するが部署と新事業創造部の兼務という形になり、2週間に1回のペースで起業に向けたメンタリングが行われます。
三菱地所の新規事業提案制度から生まれた事業
「Hmlet Japan」は、Co-Living事業を日本で展開する会社で、三菱地所と東南アジア最大のCo-Living運営会社であるHmlet社との合弁のもとに設立しています。日本の住宅ビジネスはシンプルで、「駅からの距離」と「築年数」によって、ほぼその価値が決まります。そうではなく、「Hmlet Japan」では、入居者にコミュニティを提供しつつ、デジタル技術を活用して安価に様々なサービスを提供するなど、住まいに新しい価値を付加しています。
また、家具・家電付きの部屋を用意し、敷金・礼金といった転居の際に発生するイニシャルコストも大幅に抑えるなど、フレキシブルなライフスタイルをサポートしていることも大きな特徴です。
「GYYM」は、多種多様なフィットネスクラブやジムなどを個別の入会金を支払うことなく、「好きな時に好きなだけ」利用できる「1 TICKET FITNESS」(都度利用制度)を提供するプラットフォームの運営を行っています。
利用者は、月会費などを気にすることなく自分にあったフィットネス施設を手軽に予約・利用でき、フィットネス施設にとっては収益性の向上や新規会員獲得機会の増加というメリットが見込めます。
関西電力
概要
関西電力が取り組む「かんでん起業チャレンジ制度」は大きく3つの仕組みがあります。
1.アイデア創出チャレンジ
これはアイデアコンテストで、社員なら誰でも参加することができるお祭りのようなイベントです。アイデアコンテストの審査でトップ100に入った参加者は懇親会へ招待するなど、本格的な事業立ち上げというよりは、その前段階として、社内でイノベーションの文化を促進するといった狙いで実施されています。
2.アクセラレーションプログラム
これはアイデア創出チャレンジでトップ100に入った参加者が業務外の取り組みとして、事業プランまでブラッシュアップしていきます。
3.起業チャレンジ
一次審査合格者は事業立ち上げに集中できる環境であるイノベーションラボに異動し、半年程度のフィージビリティスタディを進めることになります。その後、最終審査に合格すると晴れて本格事業展開という流れです。
選考フロー
一次審査合格者は事業立ち上げに集中できる環境であるイノベーションラボに異動し、半年程度のフィージビリティスタディを進めます。その後、最終審査に合格すると本格事業展開という流れです。
関西電力の新規事業提案制度から生まれた事業
従来、焼却処分されていた、黒部ダムに流れ着いた流木などを独自の技術でリサイクルし、地域の畜産や農業用の肥料として提供したり、発電燃料として活用したりといった事業を展開しています。
気象工学分野の研究開発により、防災、スポーツ、観光といったさまざまなシーンで活用できるインフラ情報を提供しています。
がん経験者などに向けたカトラリーを製造販売しています。
まとめ
今回は知名度の高い有名企業の新規事業提案制度をご紹介しました。
新規事業自体で大きな収益を求めるというより人材育成や起業家精神を持った人材を採用するために新規事業提案制度を整備している会社が多いのかなと思いました。
将来的に起業したいと考えているような若手人材には魅力的な企業だと思います。
就活中の学生さんとかにも参考にしてもらえたら嬉しいです。
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