#43 大企業での新規事業立ち上げの失敗体験:不適切な評価指標の設定

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新規事業

今回は大企業での新規事業立ち上げの失敗体験談の3回目です。

今回の失敗体験談は「不適切な評価指標の設定」です。

この記事を書いた人

大企業の社内起業家。役員会での承認獲得のプロフェッショナル(直近2年間は役員会付議承認率100%)。BizDev時代に担当スタートアップ5社がIPO(株式上場)を達成。専門はマーケティングと交渉業務。

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新規事業を評価する指標とは

新規事業で有効な評価指標(KPI/CAC/LTVなど)を徹底解説|新規事業を立ち上げるプロセス」で紹介しましたが、新規事業では(新規事業に限った話ではありませんが)事業のコンディションを測定するために数値目標を設定して、達成状況を計測するのが望ましいと思います。

新規事業と相性が良い評価指標として「ユニットエコノミクス」や「CAC」「ROAS」「ROI」「PUU/ARPPU/ARPU」などであることは、 「新規事業で有効な評価指標(KPI/CAC/LTVなど)を徹底解説|新規事業を立ち上げるプロセス」でも紹介しました。

ユニットエコノミクスとは、顧客1人当たりの採算性を表す指標です。

顧客1人の生涯価値(LTV=Life Time Value)から顧客1人当たりの獲得コスト(CAC=Customer Acquisition Cost)を引き、プラスになっていればユニットエコノミクスは健全と言えます。

単に「LTV > CAC」を見るだけでなく、比率で表すことによって、ある特定の時期の状況を取り出して、他の複数の状況と比較しやすくすることができます。

ユニットエコノミクス=LTV÷CAC

大企業での評価指標

私が所属している企業では半期に1回、目標を設定して半期の終わりに評価を受けます。多くの大企業では、同じように一定期間で達成すべき目標を設定して、期間の終わりに評価をおこないます。

通常は、頑張れば達成できる目標を設定して、目標を超える成果が上げられれば高い評価が得られ、目標を下回る成果しか出せなければ評価が下がってしまうわけです。

大企業の場合は、分業制で業務が行われることが多く、自分の担当業務と関係がない数値目標は持たないケースもあるのではないでしょうか?

もちろん役職が上がり、責任が高まれば会社の経営成績である利益などにコミットする必要があると思いますが、大企業の場合は役員クラスでも全社の目標に与えられる影響が限定されるため、狭い範囲での区切られた数値目標が設定されることも珍しくありません。

「収支計画」と「投資回収計画」

大企業の事業の場合に、既存事業でも新規事業でも「収支計画書」や「投資回収計画」などをつくるケースが多いと思います。

新規事業をはじめる時には「イニシャルコスト(初期投資)」が発生します。その他にも人件費、広告宣伝費など「ランニングコスト」も発生します。

「収支計画書」や「投資回収計画」などをつくる際に累積損失(累損)を前提として、「2年後に黒字化する」などの目標が設定されて、その「収支計画書」などが追うべき指標化してしまうケースがありました。

大企業での新規事業立ち上げでは、個人の目標を「収支計画書」などの数値で設定した方が達成確率が高まるケースがあります。 新規事業立ち上げ直後はユニットエコノミクスのバランスが取れないこともあるため、サラリーマンとしての慣れで達成可能な目標を設定してしまいがちです。

赤字を垂れ流しているのに、期末の評価は高い評価を得られているなんてことも起こります。

不適切な目標指標

私の経験でもサービスリリース初期にアプリダウンロード数を目標として設定したことがあります。アプリダウンロード数は、広告・販促(キャンペーンなど)を上手に実行すれば増やすことが出来ますが、サービスの質が高まっていない状況でユーザー数だけを増やしても、利用率が高まりません。

会員数の増加は役員などへの報告などでも見栄えのする数字ですが、報告栄えする数値を高めることに意味はありません。

目標はフェーズごとにターゲットとする目標を切り替えていくのが有効だと思います。

例えば「アプリのダウンロード数」を初期の目標に設定したら、ダウンロード数を伸ばす効果的な広告クリエイティブやターゲティングなどをテストしますが、効果的な施策が見つかってダウンロード数が目標を達成できたら、次は「アクティブユーザー数」を増やすことを目標に追加してダウンロード後に利用してくれるための施策検討・実施に軸足を移すなどです。

目標を切り替えていく例

アプリのダウンロード数→アクティブユーザー数→有料利用ユーザー数→利用金額

事業を適切に評価する指標を設定する

新規事業を成功させたい場合は、適切な評価指標で事業を評価し続ける必要があると思います。2年間は赤字で当たり前みたいな思考は、成功するのは難しいと思います。

新規事業を適切に評価するには短いスパン(期間)で、目標を設定して、目標の進捗を把握するための指標を設定するのが良いと思います。

期間を短くする分、目標も細かく細分化して設定するのが良いと思います。

新規事業に向いているフレームワーク

リーンスタートアップ

リーンスタートアップとは「無駄を削り、効率的に仮説を検証しながら、検証結果をもとにサービスを改良していく開発手法のことです。詳しくはコチラ

#11 リーンスタートアップを徹底解説! | 現役イントレプレナーが教える新規事業のヒント
現役社内起業家が「リーンスタートアップ」を徹底解説!

アジャイル開発

アジャイル(Agile)とは、日本語に直訳すると「素早い」「機敏な」「頭の回転が速い」という意味になります。アジャイル開発は、システムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていきます。従来の開発手法であるウォーターフォール型開発に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれています。

新規事業で向いている指標は

LTV(Life Time Value)

LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)は「顧客生涯価値」とも言われ、1顧客が生涯にわたって生み出す粗利の合計のことです。

毎月、売上が上がるサブスクリプションモデルの場合は以下の数式で算出することができます。

LTV=1顧客あたりの月次粗利×平均継続月数

単発で売上が上がるようなビジネスモデルの場合は以下の数式で算出することができます。

LTV=1取引あたりの粗利×平均リピート購買回数

CAC(Customer Acquisition Cost)

CAC(Customer Acquisition Cost・カスタマーアクイジションコスト)は「顧客獲得コスト」のことで、新規顧客を1社獲得するためにかかったコストを意味します。

CACは新規顧客獲得にかかった営業・マーケティング費用の合計を、新規顧客獲得数で割ると算出できます。

コミュニケーション戦略」でも紹介した下記のユーザー接点で言えばペイドメディア費用や営業費用などを、新規顧客獲得数で割ると算出できます。逆にオウンドメディアやアーンドメディアで顧客が獲得できるとCACが低くおさえられます。

CACは以下の数式で算出することができます。

CAC=新規顧客獲得に関する営業・マーケティング費用の合計÷新規顧客獲得数

ROAS

ROASとは「Return On Advertising Spend」の頭文字を取った略語で、日本語では「広告の費用対効果」という意味になります。広告費に対してどれだけ売上として見返りを得られたかを表す指標です。広告費1円あたりの売上額を知り、広告費用の回収率を知ることができます。ROASが高いほど広告の費用対効果が高いということになるため、ROASの高い広告の予算配分を高くしたり、入札価格を上げたりするなどして活用できます。

コストの中で集客コスト比率が高い事業(インターネットサービスなど)の拡大期などに活用される指標です。ちなみにユニットエコノミクスはLTVが初期にはわからない(顧客が生涯にわたって生み出す粗利がわからないため)こともあるのでROASも意識するようにしていました。

ROI

ROIとは「Return On Investment」の頭文字を取った略語で、日本語では「投資利益率」という意味になります。初期投資が大きい事業などではユニットエコノミクスやROASを追っているだけだと判断を間違えてしまうことから初期投資が大きい事業では重要な指標だと思います。

PUU/ARPPU/ARPU

PUUとは「Paid Unique User」の頭文字を取った略語で、日本語では「課金者数」 という意味になります。ARPPUとは 「 Average Revenue Per Paid User」の頭文字を取った略語で、日本語では「課金者1人あたりの顧客単価」という意味になります。ARPUとは「Average Revenue Per User」の頭文字を取った略語で、日本語では「顧客1人あたりの顧客単価」という意味になります。月額課金モデルのビジネスで使用されるKPIです。

新規事業でKPIツリーで管理

KPIツリーは、KGIという組織や企業の大目標を頂点として、大目標実現のために構成されたKPIとの関係性を、ツリーの形状を使って可視化したものです。

新規事業ではKGIは結果の数字としてウォッチしますがKPIの方が重要だと思います。まずはユニットエコノミクスがバランスが取れる状態を達成するため適切なKPIを設定して、KPIツリーの下部に位置する具体的なKPIから課題を考察すれば、施策の検討や実行にも有効です。

詳しくはコチラ

#10 【STEP8】新規事業で有効な評価指標(KPI/CAC/LTVなど)を徹底解説|新規事業を立ち上げるプロセス
新規事業で有効な評価指標であるKPI/CAC/LTVなどを徹底解説しました。既存事業の場合は「KGI」と「KPI」を指標として事業を管理などをしているケースが多いのではないでしょうか?「KGI」とは、「Key Goal Indicator」の頭文字をとった言葉で日本語だと「重要目標達成指標」と訳されます。ビジネスの最終目標を定量的に評価するための指標です。売上高や利益などがこれに当てはまります。

まとめ

今回は、大企業で新規事業を立ち上げる際に私が失敗する可能性がある「評価指標の設定」に関してご紹介しました。

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