#03 【STEP2】課題の「解決策」を検討する | 新規事業を立ち上げるプロセス

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新規事業立ち上げプロセス

新規事業を立ち上げるプロセスのSTEP2は「課題の「解決策」を検討する」です。

STEP1で事業の「対象顧客」と「対象顧客の課題」を特定したら次は課題を解決するためのソリューションを検討します(顧客課題を探す手法が知りたい方はコチラ

ちなみにSTEP1:顧客課題を探すと『STEP2:課題の「解決策」を検討する』と分けていますが実際の新規事業の検討では、STEP1とSTEP2を行ったり来たりします。

この記事を書いた人
シマダオ

大企業の社内起業家。役員会での承認獲得のプロフェッショナル(直近2年間は役員会付議承認率100%)。BizDev時代に担当スタートアップ5社がIPO(株式上場)を達成。専門はマーケティングと交渉業務。

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課題解決策を分類

具体的な課題解決策の検討方法をご紹介する前に新規事業(イノベーション)での課題解決策を分類してみました。新規事業には大別すると「代替価値提供型」と「価値創出型」の2つがあると考えています。さらに「代替価値提供型」は「機能向上型」と「対象絞込型」に整理することができると思います。課題に対して、どのような視点で解決策を検討するかの参考にしてもらえればと思います。

では、それぞれを解説していこうと思います。

代替価値提供型

基本的には新規事業にしろ新商品にしろ既存の事業や商品の代替策がほとんどです。なぜなら人が課題と感じていることには何かしらの解決策が提供されているからです。もし課題に対して解決策が全く存在しないとすると「解決したいけどコストがペイしない」ような課題か「少数の人しか課題と感じていないため解決策を提供してもビジネスとして成り立たない」ようなケースではないかなと思います。

機能向上型

既存サービスや商品の機能や提供体験を改良したり機能追加したりするような新規事業を私は「機能向上型」と整理しています。既存サービスや商品で足りていない部分を改良したり機能追加したりしたような事業です。

機能向上型の事例
クラシル

レシピ動画サービスkurashiru [クラシル]は2016年2月にサービスをリリースして1年半でレシピ動画数が世界最大になっています。それまでレシピサービスと言えば「クックパッド」(1998年リリースされた老舗料理レシピサービス)が圧倒的な王者でした。

2018年のクックパッドのプレスリリースによるとレシピ数は500万品もあるようです。 クラシルのレシピ動画数が世界一になったプレスリリースでは動画レシピ数10,000本達成よりも前の2017年8月に世界一になっています。

つまり2018年当時はレシピの数では約500倍の差があったことになります。私も月に1回程度の頻度で料理をすることがあり元々はクックパッドを利用していましたが最近はクラシルを使っています。

ユーザーが得られる価値は、どちらもレシピですが動画で確認できる価値は大きいですよね。前提としてはiPhoneなどスマートフォンの普及と機能向上や通信速度の高速化などが揃ってきていたタイミングで参入できたのが勝因ではないでしょうか?

「機能向上型」の新規事業の特徴は外的要因(クラシルの例ではスマートフォンの機能向上や通信速度の高速化など)の変化を捉えることで成長しているケースが多いと思います。

対象絞込型

「機能向上型」が既存サービスや商品で足りていない部分を改良したり機能追加したりしたような事業なのに対して「対象絞込型」は機能が改良したり追加したりしておらず、事業対象者を絞り込んだり、切り口を変えて対象者にとっての価値を再定義するような事業です。

対象絞込型の事例
QBハウス

「対象絞込型」の代表的な事例はQBハウスです。QBハウスは、それまでの美容院や理容院がおこなっていたサービスが過剰(カット、シャンプー、カラー/パーマなどオプションサービス、スタイリングなど)だと整理して『へアカットだけでいいのでは?』の課題認識から1996年に「ヘアカット専門店」QBハウスを開始しています。2019年までは来店客数、店舗数ともに急拡大しています。残念ながら2020年は来店客数が減少(たぶんコロナの影響でしょう)していますが海外でも事業を拡大していました。QBハウスホームページより

「ヘアカット専門店」とすることで施術時間は既存の美容院/理容院だと1時間前後かかっていたのが10分に短縮され料金も5,000円前後から1,000円程度に安くなりました。

「ターゲットユーザー」を絞り無駄を省いて成功した事例ですが「ちゃちゃっと髪を切りたい」と言う一部のユーザーの課題をもとに価値が再定義された事業だと思います。

スタディサプリ(旧受験サプリ)

もう1つ「対象絞込型」の事例としてスタディサプリ(旧受験サプリ)を紹介しよう。スタディサプリはリクルート社の新規事業提案制度「NewRING」から生まれた事業です。

創業者の山口さんのインタビューなどを読むとスタディサプリ(旧受験サプリ)の対象顧客と課題は「母子家庭なので塾・予備校にいけない」「田舎なのでいい予備校はない。東京がうらやましい」という課題を持つ学生でした。そのため初期※の費用は月額980円でした。(今は値上がりしてしまいましたが…)

※スタディサプリ(旧受験サプリ)の前身サービスが2011年に開始され12年からオンライン予備校サービスを開始したようですが月額980円に設定したのは2013年のことのようです(wikipediaより

スタディサプリ(旧受験サプリ)は塾・予備校にいけない学生向けに質の高い授業をオンラインで提供するサービスで塾・予備校の代替手段でした。しかし塾・予備校の機能を単純に向上させるような「機能向上型」ではありませんでした。塾・予備校なら授業でわからないことがあれば質問などもできますし自習室などもありますがスタディサプリ(旧受験サプリ)には、そのような機能や場所はありません。

スタディサプリ(旧受験サプリ)が提供した価値は月額980円という破格の価格で一流講師の授業を受け放題にしました。これは塾・予備校にいけない学生だけでなく併用する学生や学校や塾で契約して生徒にやらせるなどの事例も発生しているようです。

リクルート社IRによると2021年3月末時点の有料会員数が157万人になっています。予備校では東進ハイスクール・東進衛星予備校や河合塾が生徒数約12万人で最大手ですがスタディサプリの有料会員数には遠くおよびません。

この事例もクラシルと同じようにスマートフォンの普及と機能向上や通信速度の高速化などが揃ってきたことが勝因ではないでしょうか。

価値創出型

「代替価値提供型」の新規事業が既存のサービスが提供している機能などを向上させたり価値を再定義しているのに対して「価値創出型」は今まで課題として認識されていなかったような課題を解決するソリューションです。

価格.com

価格.comが新規事業(=イノベーション)の事例として紹介されるケースは少ないと思いますが私は初めて利用した際にとても感動したことを憶えています。

価格.comの前身となる「¥CORE PRICE¥(コアプライス)」が1997年5月にリリースされました。創業者の槙野氏がパソコン周辺機器メーカーの社員として秋葉原の電器店を回って製品の店頭価格を調べる業務の中で「消費者は一番安い商品を探し、お店はライバル店の価格を知りたがる。誰もが価格情報を求めているのでは?」課題を発見します。

槙野氏は会社を退職して「価格.com」リリースするものの初期は連日手作業で価格更新を繰り返していたようです。

リーンスタートアップでいう「MVP(Minimum Viable Product)※」ですよね。翌年には、お店が価格をリアルタイム、かつ直接登録できる独自システムをリリースしたようです。

カカクコムの歩みより

私は価格.comを利用するまで「一番安い商品を探す」などと言う発想はありませんでした。例えば電化製品を購入するとしたら定価から少し値引きをしてもらう程度が当たり前の感覚でした。

それが価格.comを利用して家電量販店に行ったときにて「価格.comでは1万円で売っているみたいですけど値引きとかできないんですか?」と店員さんと交渉した時は、売り手と対等に交渉できている感に価値を感じて、それから値引き交渉したくて新しい家電を買うことが増えたくらいです。

※MVPに関しては「仮説検証のやり方を事例を基に徹底解説」で詳細にご紹介します。

課題の「解決策」を検討する時に活用したいフレームワーク

課題解決策の分類が整理できたところで解決策の検討に使えるフレームワークをご紹介します。フレームワークを活用しながら解決策を検討してみてください。

オズボーンのチェックリスト

オズボーンのチェックリストは、ブレーンストーミングを作ったアレックス・F・オズボーン氏が考案したフレームワークです。

  • Put to other uses(転用):他に使い道はないか?
  • Adapt(応用):他に類似したものはあるか?過去のアイデアは使えるか?
  • Modify(変更):大きさや色の変更は可能か?
  • Magnify(拡大):大きくしてみたらどうか?
  • Minify(縮小):小さく、軽くしてみたらどうか?
  • Substitute(代用):他のものに置き換えられないか?
  • Rearrange(置換):置き換えてみたらどうか?
  • Reverse(逆転):逆にしたらどうか?
  • Combine(結合):組み合わせてみたらどうか?

SCAMPER法

オズボーンのチェックリストをボブ・イバール氏が改良したフレームワークがSCAMPER法です。7つの切り口をもとにアイデア発想を助けるフレームワークです。「SCAMPER」とは、「Substitute(代用)、Combine(結合)、Adapt(応用)、Modify(修正)、Put to other uses(転用)、Eliminate(削減)、Reverse・Rearrange(逆転・再編成)」の略で、これらの質問に答える形で発想を促すというフレームワークです。

  • Substitute(代える):他のものに置き換えられないか?
  • Combine(組み合わせる):複数の製品をどのように組み合わせることができるか?
  • Adapt(適応させる):他に類似したものはあるか?過去のアイデアは使えるか?
  • Modify(修正する):大きさや色の変更は可能か?
  • Put to other uses(他の使い道):他の使い方がないか?
  • Eliminate(削減する):現在の製品から取り除けるものはないか?
  • Reverse・Rearrange(逆転・再編成):逆にしても可能か?並べ替えをしても可能か?

ポジショニングマップ

顧客課題を探すでも紹介しましたがポジショニングマップも「解決策」の検討でも活用できます。

ポジショニングマップは、ターゲットとなる市場において、各社の商品やサービスがどのような立ち位置にあり、自社がどの位置を目指すのかを明確にするフレームワークです。
まず、顧客が商品を購入する場合に重要視する要素を2つ選び、それをタテとヨコの軸に設定します。次に、競合他社の商品がどこにあるのかをマッピングし、自社商品がどこを目指すべきなのかの検討材料にします。

縦軸と横軸を何にするのかを考えていくと課題も整理されていく便利なツールです。

新規事業とマーケティングが大好きなおじさんの経験と知識を棚卸するブログ

フレームワーク関連書籍

知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100

本書の特徴はフレームワークを「活用用途」ごとに分類してくれているところです。じっくり読み込む本ではなく、デスクに置いておいて課題にぶつかった時に、その都度活用できるフレームワークがないか参照する使い方が最適だと思います。

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まとめ

今回は「課題の「解決策」を検討する」手法などを事例などを紹介しながら徹底解説させていただきました。

何度も読み返して活用してもらえたら嬉しいです。

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