#04 【STEP3】仮説検証のやり方を事例を基に徹底解説 | 新規事業を立ち上げるプロセス

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新規事業立ち上げプロセス

新規事業を立ち上げるプロセスの『STEP3』は仮説検証です。

今回は仮説検証のやり方を事例などを紹介しながら徹底解説したいと思います。

この記事を書いた人
シマダオ

大企業の社内起業家。役員会での承認獲得のプロフェッショナル(直近2年間は役員会付議承認率100%)。BizDev時代に担当スタートアップ5社がIPO(株式上場)を達成。専門はマーケティングと交渉業務。

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検証による学び

エリック・リースの「リーン・スタートアップ」では「検証による学びとは不確実性の高い新規事業で進捗を的確に計る方法だ」と書かれています。

既存事業でも創意工夫をしながらYoY(year-on-year:昨年対比)で売上や利益の拡大を目指します。サービスや商品の品質改良や新たなプロモーション施策、コスト削減などをおこないます。これらの施策は現状の延長線上にあるため自社に情報が揃っており、知見もあるため比較的容易に事業計画やKPI(Key Performance Indicators=重要業績評価指標)を設定できます。要は事業を成長させるために重要な指標が特定しやすいと言えます。
しかし「新規事業」は現状の延長では実現できません。(と言うか現状の延長では新規事業とする意味がありません)

新規事業は現状の延長ではないので自社に情報がありませんし知見もありません。なので成功の確率を上げるためにも検証によって情報や知見を獲得する必要があるのです。

検証の進め方

検証の手法に関しては後程、詳しく解説しますが検証を開始する前に「仮説」を立てる必要があります。「顧客は〇〇に「不便」を感じているから△△なサービスを□□を訴求してプロモーションすれば利用してくれるはずだ」などの仮説がなければ、検証になりません。

ただし組み立てた仮説をもとに事業開発を即開始するのはリスクを伴います。コストを費やして事業開発をした結果、仮説が外れていた場合、全てがムダとなってしまう可能性もあるからです。ですから、新規事業では低コストでの仮説検証を実施して仮説が立証できてから事業開発を進めるのが望ましいのではないかと思います。

具体的には下記の7ステップで検証をすすめていきます。

仮説検証の7つのステップを事例を基に解説

では実際の事例をもとに仮説検証のステップを解説したいと思います。今回は後程「検証手法」で紹介するMVPの事例として良く取り上げられるDropboxを事例に検証のステップを解説します。

Dropboxとは?

Dropbox(ドロップボックス)は、インターネット上でファイル管理や共有を行う、「クラウドストレージサービス」です。オンライン上で利用するためインターネット環境があればどこからでもアクセスすることができ、外出先からでも必要なデータを確認・共有ができます。また、PCだけでなくスマートフォンやタブレット端末からも利用可能です。

STEP1:仮説を立てる(Hypothesis/Assumption)

複数のデバイスから自動同期できるオンラインストレージを提供すれば、人々は利用するのではないか?

STEP2:何を学ぶのか(What to learn)

既に多くのストレージサービスがある中で、利用したいと思う人が本当にいるのか?

STEP3:どのように検証するのか?(How to Verification the Hypothesis)

デモ動画とランディングページ(事前登録フォーム付き)を用意して検証

STEP4:検証基準とするデータ(Criteria of Verification)

  • デモ動画の再生回数
  • 登録人数

STEP5:検証する(Verification)

デモ動画とランディングページ(事前登録フォーム付き)を作成してアーリーアダプタにアプローチできそうなハッカーニュースに投稿する。

STEP6:検証結果を得る(Get result)

1日で75,000人の事前登録と、多くの要望コメントが得られた。

STEP7:学びを得る(Get learn)

Dorpboxを利用したいと思うユーザーが大勢いることが証明でき、製品開発をおこなえばユーザーが獲得できそうなことを学べた。

Dorpboxの事例は仮説検証の教科書のような事例だと思います。製品を開発する前にデモ動画とランディングページ(事前登録フォーム付き)を作成してユーザーニーズを確認した検証手法と1日で5,000人だったユーザーが75,000人に急拡大したのが有名です。朝起きでデータを見た時に笑いが止まらなかったであろうことが想像できます。

検証手法

MVP検証

MVP(Minimum Viable Product)とは

MVPとはMinimum Viable Productの略で、日本語では『実用最小限の製品』と訳されます。

最小限の機能を搭載した製品を小規模なグループにテストし、フィードバックをもらうことで、素早くフィードバックループを回転させ、仮説を検証するために利用します。

Dorpboxの事例では「デモ動画」「ランディングページ(事前登録フォーム付き)」がMVPになります。

実用最小限の製品とは?

実用最小限の製品とは「仮説を検証するのに過不足ない製品(ぽいもの)」という意味です。MVP開発は必ずしも製品開発ではないので注意が必要です。大企業の担当者がMVPを作成しようとすると、「あの機能も入れなきゃ、このデザインでは会社の信用を落としてしまうのでは?」と製品レベルでのクオリティを求めてしまうケースがありますが(私のチームもそうでした💦)機能は単純で少ない方が良いのです。

MVP(Minimum Viable Product)の具体例

ランディングページ(LP)型MVP

ランディングページ(LP)型MVPはユーザーが製品・サービスに興味を示すかを検証するためのMVPです。

先に紹介したDorpboxでも「ランディングページ(事前登録フォーム付き)」がMVPになっています。日本でもSmartHRがLP(ランディングページ)で事前登録数を稼ぐことでトラクションを実証したようです。

SmartHRの代表の宮田さんがインタビューで「LPを作りFacebookで2万円ほどの広告を出すと、なんと3日間で100件もの申し込みがあったという。その数に驚くのと同時に、課題の大きさと手応えを実感した瞬間だった。」とコメントされています。

インタビュー記事を参照

動画型MVP

こちらもDorpboxのMVPでも活用されています。実際の動画らしきものがYouTubeにあったので掲載しておきます。

プレオーダー型MVP

プレオーダー型MVPはローンチ前に事前に会員登録や購入を募るMVPです。DorpboxやSmartHRのように、LP型MVPや動画型MVPと平行して実施するケースが多いです。

日本でも近年増えてきたクラウドファンディングサービスでは、プレオーダーと紹介ビデオを掛け合わせた スモークテストが頻繁に行われています。

オズの魔法使い型MVP

オズの魔法使いと呼ばれるMVPは、製品を制作する前に人間がその一部の働きを代わりに行い、ユーザーのニーズを確かめる方法です。主にオンラインサービスで活用されるMVPです。

現在ではアマゾンに買収された「Zappos」というサービスも、このオズの魔法使い型MVPの手法を利用していました。「Zappos」はシステムを構築する前に注文ページのみのwebページを作成し、注文が来たときには創業者が自ら商品を買いに行き、発送していました。そうしてサービスの需要を確かめた後、本格的なシステムを構築したのです。

ちなみに「Zappos」のことを詳しく知りたい方は「ザッポス伝説 顧客が熱狂するネット靴店」で詳しく紹介されています。私も発売当初に読んで刺激を受けたことを思い出しました。

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コンシェルジュ型MVP

コンシェルジュ型MVPとは製品を開発する前に人力で、製品、サービスに需要があるかを検証する方法です。

顧客が触れるプロダクトを制作するのが「オズの魔法使い」なら、全てをマニュアルで行なってしまうのがコンシェルジュと呼ばれるMVP手法です。

事例としては近所のセール情報と食の好みに基いて毎日の献立を考えてくれるWEBサービス「Foodonthetable」はウェブサイトを立ち上げる前にコンシェルジュ検証を実施したようです。

実際の検証ステップ

  1. スーパーマーケットに行って、見込み客となる主婦を探す
  2. サービスに興味を見せた主婦に対して、将来的にウェブ上で実現するサービスを毎週実際に自宅を訪問して提供
  3. 直接フィードバックをもらい改善
Foodonthetableはコンシェルジュ型MVPの事例を探していて見つけたサービスで現在はサイトが見つかりませんでした、でも実施したMVPはコンシェルジュ型MVPの教科書と言える事例だと思います。実際にスーパーマーケットで主婦の方々に声をかけていったのでしょうが、相当怪しいですよね…💦しかも自宅に訪問してサービスを提供ってのもヤバいですね(良い意味で)
プロトタイプ型MVP

プロトタイプ製品を作成してMVP検証するのがプロトタイプ型MVPです。

宿泊シェリングサービスのAirbnbは2007年10月にデザイン学校の卒業生だった創業者の2人が自分たちのアパートの空き部屋で民泊をやろうと思いつきデザインは自分たちでやってHTMLに詳しいフリーランスを雇って作った「素人っぽいWEB」がはじまりでした。

Airbnbの起業ストーリーは「Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法」で詳しく語られています。

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実際の製品プロトタイプを作る以外にペーパープロトタイプを作成してユーザー体験(UX)を検証する手法もあります。

営業提案型MVP

営業提案型MVPは製品を開発する前に「営業提案書」を作成してターゲット顧客に営業をしてしまうMVPです。主にBtoB(Business to Business=企業間取引を意味し、企業向けサービスや製品)の検証で活用されます。

ユーザーインタビュー/観察検証

ユーザーインタビューとは、事業の想定ユーザー(ペルソナ的な人)に対して、質問に回答してもらう形式でおこなうリサーチ手法です。ユーザーインタビュー以外にユーザーの行動を観察させてもらう検証もあります(製品(自社製品でも競合製品でも)を使用しているのを、ひたすら観察することで学びを得る検証です)

ユーザーアンケートなど取得したデータ等を計測するの「定量調査」に対して、ユーザーインタビュー/観察は、対象者の行動、思考、課題などを深掘りするための「定性調査」になります。

ユーザーインタビュー/観察の詳細はユーザーインタビューの目的やコツ、設計方法などを徹底解説で詳しく解説しています。

ユーザーアンケート

ユーザーアンケートはユーザーインタビューと同じく事業の想定ユーザー(ペルソナ的な人)に対して実施します。インタビューは話をしながら途中で質問を変えたり、追加したり、省いたりできますが、アンケートはWEBなどで実施するケースが多いためアンケート中に内容を変えることができません。なのでアンケートで得たいデータを明確にして質問と回答(選択肢の場合)を設計する必要があります。

ユーザーアンケート詳細はユーザーアンケートの目的やコツ、設計方法などを徹底解説で詳しく解説しています。

仮説検証で活用できるフレームワーク

MVPキャンバス

MVPキャンバスとはMVP※の創出やMVPを用いた仮説検証をするための計画を作成するためのツールです。リーンキャンバスと同じようにチーム内で、その内容を共有するために活用できます。
以下の10の領域に分かれており、それぞれを記載していきます。

※MVP(Minimum Viable Product)とは、顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのことを指します。 完璧な製品・サービスを目指すのではなく、顧客が抱える課題を解決できる最低限の状態で提供します。 提供後は、顧客からのフィードバックなどを参考にし、新機能の追加や改善点の見直しを図ります。

まとめ

今回は仮説検証のやり方を事例などを紹介しながら徹底解説させていただきました。

新規事業を成功させるために最も重要なのが「仮説検証」だと思います(顧客設定や課題発見なども重要ですが💦)是非、何度も読み返して活用してもらえたら嬉しいです。

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