#02 【STEP1】新規事業ではアイデアではなく顧客課題を探す | 新規事業立ち上げプロセス

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新規事業立ち上げプロセス

前回のブログで新規事業を立ち上げプロセスの全体像を解説しました。

今回は新規事業を立ち上げるプロセスの「STEP1:顧客課題を探す」として対象顧客の検討方法と課題発見手法を徹底解説したいと思います。

新規事業を担当することになって検討方法、手順を知りたいって方のために新規事業の立ち上げ手順を8ステップに分けて詳しく解説します。

この記事を書いた人
シマダオ

大企業の社内起業家。役員会での承認獲得のプロフェッショナル(直近2年間は役員会付議承認率100%)。BizDev時代に担当スタートアップ5社がIPO(株式上場)を達成。専門はマーケティングと交渉業務。

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新規事業は、まずアイデアじゃないの?

私は大企業で(前職のベンチャー企業でも)複数の新規事業の立ち上げに携わってきました。

プライベートでも某大学での新規事業プランコンテストの運営をサポートしたり、某自治体さんの依頼で県立高校で地域活性化策の立案に関する授業を実施させてもらったりもしました。

なので学生さんや会社の若手社員から新規事業立案に関する相談を受けることが度々あります。

相談を受けていると『新規事業(事業開発)は誰も思いつかないようなアイデアを着想するもの』というイメージを持っている方が一定数います。

もちろん事業アイデアも大切ですが新規事業立案では『誰も思いつかないようなアイデア』よりも大切なことがあると思います。

それが『顧客を特定すること』と『顧客の課題を見つけること』だと伝えています。

顧客課題の見つけ方

では、まず顧客課題を見つける方法を紹介していきたいと思います。

「顧客の課題」と言っても顧客が誰なのかは決まっていません。顧客を特定してから課題を探すのも間違いではないと思いますが、私は課題を考えてから対象の顧客を考えるケースが多いです。

顧客を特定してから課題を探す方法

顧客を特定してから課題を探す方が相性が良いケースがあります。有名な『アンゾフの成長マトリクス』(下記図を参照)で既存市場向けに新製品(新規事業)を検討する場合などは顧客は既存事業の顧客になりますから既存事業の顧客の課題を見つければ良いと思います。

もちろん既存事業で顧客との接点があるわけですから顧客課題も見つけやすいと言うメリットもあります。営業担当者やカスタマーサービス(CS)担当者など顧客と接点が多い職種の社員にヒアリングしたり、営業担当者などに協力を依頼して顧客にインタビューさせてもらうなどが課題を見つけるのに有効です。

法人クライアントは担当者レベルから役員クラスまで様々な方々にインタビューさせていただいた経験がありますし、個人顧客へのユーザーインタビューだけでも直近1年で100回以上は実施してきました。とにかく顧客の声なしでは検討をすすめられないと言うのが私の持論です。

課題を見つけ出してから顧客を考える方法

課題を先に見つける方法は上の『アンゾフの成長マトリクス』では「多角化」で相性が良いと思います。新規事業で扱う顧客課題を見つけるために私が最初におこなうのが自分自身が課題だと感じることを整理してみることです。

私は日頃から自分自身が顧客(Customer)として課題に敏感になるようにしています。リクルート社の新規事業開発も顧客課題の発見(リクルート社の言葉では「不の発見」と言います)から起案されているケースが多いようです。

アリババ創業者のジャック・マーも同じようなことを言っています。

チャンスは常に人々の不満の中にある(アリババ創業者のジャック・マー)

※リクルート社が言う「不」とは「不便」「不満」「不安」などネガティブな体験の総称で「不」を解消することができれば顧客から(必ずしも顧客に限らないが)報酬を得られる新規事業の芽との考え方。詳しくは「リクルートの すごい構“創”力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド」が参考になります。

ちなみに課題に敏感になるというのは個人としての話だけではありません。仕事をしていて感じる「不便」「不満」「不安」はBtoB(Business to Business=企業間取引のこと)の新規事業の種にななります。

また私は自分自身の「不便」「不満」「不安」に敏感になるのと合わせて、家族や親しい友人、同僚などと接する機会でも、その人たちが「不便」「不満」「不安」などを感じている体験がないか意識するようになっています(職業病ですね…^^;)

自分自身と身近な人の「不便」「不満」「不安」に敏感になるだけで新規事業での顧客課題の検討は各段に質の高い検討ができるようになります。

自分と身近な人の「不便」「不満」「不安」を意識する以外に

自分が利用して感動したサービスや商品が解決してくれた課題を整理してみる

普段から「不便」「不満」「不安」していないと、課題検討時に直ぐに「課題」として整理するのが難しいと感じる人もいるかもしれない。その場合は、これまでの人生で利用して感動したサービスや商品を思い出して欲しい。感動を与えるようなサービスや商品は何らかの「不便」「不満」「不安」を解決してくれているケースが多いです(接客担当者の心遣いが素晴らしかったとかもあるでしょうが…)

まずは自分の「不便」「不満」「不安」を解決してくれたサービスや商品を課題解決の視点で整理してみると課題解決検討のヒントが得られるかもしれません。

成長しているサービスや商品の課題を分析してみる

自分の「不便」「不満」「不安」を解決してくれたサービスや商品から課題を整理する以外に、成長しているサービスや商品が解決している「不便」「不満」「不安」を課題解決の視点で整理してみても課題解決検討のヒントが得られるかもしれません。

活用可能なサービス

顧客課題を洗い出すために私が利用したサービスとしては「ビザスク」があります。対象業界でお仕事をされている方々などに1時間のインタビューができるサービスです。

現職からOBまで豊富な経験を持つアドバイザーが約15万人登録しており経歴や役職・担当業務なども事前に確認できるので、現場の担当者から決済権を持つ役職者まで、課題の精度を上げるために活用できます。BtoBサービスを検討している場合にはリアルな課題の洗い出しに活用できるサービスだと思います。

日本最大級のスポットコンサル「ビザスク」

顧客課題を特定する際のポイント

例えば「会社までの移動が面倒で時間がかかる」という「顧客課題」がある時に「家の前まで車で迎えに行って会社まで送迎するサービス」を企画したとしましょう。

しかしサービスを提供するのに5,000円の費用がかかるとします。顧客は「早く、面倒なく会社まで移動する」という解決策に対して5,000円を支払うでしょうか?

顧客が「不便」「不満」「不安」を感じている課題に対して「お金を払ってでも解決したいポイント」のことをペインポイントと言います。「ペイン」は痛みのことで、その痛みを取り除くためにお金を払うというわけです。

お金を出してでも解決したい「ペインポイント」を見つけることが顧客課題を特定する際には重要です。

顧客を特定する

課題を先に見つける方法をとった場合は、課題を洗い出したら次に顧客を特定します。

市場をセグメント化して顧客を特定する

顧客を特定する手段としては市場をセグメント化して”見つけ出した課題”に合う顧客を特定します。

セグメントとは、集団やまとまりを区切った区分のことです。課題解決ターゲットを何らかの指標に基づいて区切った「まとまり」として特定します。

セグメントの区切り方(ToCビジネス)

セグメントの区切り方としてはToCビジネス(Business to Customer=個人顧客相手のビジネスのこと)では年齢、性別、収入などのデモグラフィックや居住エリアなどのジオグラフィックなどの区切り方が一般的です。

Demographic(デモグラフィック)

デモグラフィックは、年齢や性別、家族構成や職業といった分け方のことです。

年齢や職業をざっくりと分けるのではなく、実際は10代・20代・30代と年代ごとに分けたり、サラリーマンの中でも営業職・プログラマー・経理などとより細かなセグメントに分けていきます。

Behavioral(ビヘイビア)

ビヘイビアは使用率やベネフィットといった行動での分け方のことです。

サービスや商品の利用頻度などによってライトユーザー、ヘビーユーザーなどに区分したり、今までそのサービスや商品を使ってこなかった層などを区分します。

Psychology(サイコロジー)

サイコロジーは、ライフスタイルやパーソナリティでの分け方のことです。アウトドア派かインドア派か、高級志向かどうか、流行に敏感であるかないかなどの分け方があります。

Geographic(ジオグラフィック)

ジオグラフィックは国・地域・都市の規模、経済発展・進展度、人口、気候、文化・生活習慣、宗教、政策などでの分け方のことです。

事例

ToCビジネスでのセグメンテーションでの事例としてはJINSなどが有名です。

JINSはブルーライトカット用メガネを売り出すことで『ブルーライトをカットしたい健康思考の強い視力が悪くない顧客』取り込むことに成功しました。

これは顧客の『ブルーライトが目に悪そう』という「不安」を解消する商品だったわけです。

セグメントの区切り方(toBビジネス)

toBビジネス(Business to Business=企業間取引のこと)では従業員規模や売上規模などのビジネスサイズ、産業/業界によるインダストリー、拠点などのジオグラフィック、対象職種などの区切り方が一般的です。

事例

ToBビジネスでのセグメンテーションでの事例としてはパナソニックのレッツノートなどが有名です(事業企画というより商品企画的な事例ですが)

レッツノートはビジネスパーソン全体をターゲットとするのではなく「外回りをする営業職」をセグメントして企画された商品となっています。

当時のパソコン業界はスペックの高さで競っていましたが、レッツノートは軽くて持ち運びしやすく丈夫なノートパソコンで必ずしも高スペックではありませんでした。

私も一時期レッツノートを使っていましたがビジネスバッグの中に雑に入れても良く、見た目のわりに軽いのも印象的でした。

ちなみにコロナ禍でZoomなどでのオンライン商談などが急激に増えています。コロナ禍のビジネスパーソンの働き方の変化による課題に即したサービスや商品などがきかくされていると思います。どんなサービスや商品が出てくるかCustomerとして楽しみです。

ユーザーセグメントのトレーニング

セグメントの切り口は経験がものを言う、短期間でセグメント力を高めるために競合企業のサービス/製品、気になる成長企業のサービス/製品の顧客セグメントを考えてみると経験値を高めることができると思います。

例えば「あるサービス/製品は、どんな顧客を対象としているのか?」みなさんならどのように調べますか?

対象ユーザーになったつもりで行動してみる

例えばSlackの対象ユーザーセグメントってどんなユーザーなのかを調べる際にSlackで課題が解決するユーザーが解決手段を探すとしたら、どんな行動をとるのか考えてみます。

※Slack:ビジネス用のメッセージングアプリ

わかりやすい行動としてGoogleやYahoo!JAPANで検索する際に、どんなキーワードで検索するのか考えてみます。例えば「ビジネスチャット」とかで検索されてるんじゃないかなと思ったら「ビジネスチャット」で検索してみます。

検索結果で広告にはどんな企業がどんなクリエイティブ(タイトルやディスクリプション)で出稿しているのか?各社のランディングページ(LP)には、どんなことが書かれているのか?

  • SlackのLPでは何が訴求されているのか?
  • 競合サービスのLPでは何が訴求されているのか?

と調べていくとSlackは、どんな顧客をターゲットユーザーとしていて、競合はどんな顧客をターゲットユーザーとしているのかが見えてきます。

顧客と顧客課題を発見するための手法

ペルソナ

ペルソナとは設定した課題と解決策の恩恵を最も受けるであろう理想の顧客(架空)のことです。
架空の顧客ですが実在する人間に限りなく近い架空の存在であり、ターゲットとなる顧客の特徴を詳細にまとめたキャラクターのようなものです。

「ペルソナ」も「カスタマージャーニーマップ」と同じくマーケティングコミュニケーションで活用するツールですが顧客を特定したり課題を洗い出したりする場面でも活用できます。

ペルソナを整理して可視化したものがペルソナシートです。

詳細は「ペルソナシートの作り方を徹底解説!」でご紹介します。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーとは直訳すると「お客様の旅」となりますが、お客様が商品やサービスを知って、購入し、購入後はどうだったかという一連の流れを旅(ジャーニー)と捉えて整理したものです。

そして、カスタマージャーニーの中での「お客様の感情」「行動」「企業との接点」などを可視化/図式化したものが「カスタマージャーニーマップ」となります。

基本的にはマーケティングコミュニケーションで活用するツールですが顧客を特定したり課題を洗い出したりする場面でも活用できます。

詳細は「カスタマージャーニーマップの作り方を徹底解説!」でご紹介します。

顧客課題の見つける時に活用したいフレームワーク

フレームワークとは、ビジネスで何かを思考するときや課題解決を図りたいときに、頭の中を整理するためのツールです。一定の枠組みを使って思考や検証を行うため、情報が整理しやすく、目標達成への解決策を見つけやすいのが特徴です。

顧客課題を見つける時に活用できるフレームワークをいくつかご紹介します。

共感マップ

「共感マップ」とは、ペルソナとして設定した理想の顧客が普段どのような環境に身を置いていて、その中でどんな感情を抱いているのかを理解するために使われる、フレームワークです。

ペルソナについての理解を深めることで、ユーザーが持つ本当の課題を捉え、事業や商品/サービス開発、コンテンツの設計の精度を高めることができます。またプロジェクトメンバー間での顧客に対する認識を合わせる効果もあります。

詳細は「共感マップの作り方を徹底解説!」(リンク)でご紹介します。

MECE(ミーシー)

フレームワークの基本中の基本。モレなく、ダブりなく分類すること。

例えば「成人女性」を「主婦」と「OL」に分けると主婦でOLをしている方もいるし(ダブりが発生)、主婦・OL以外の「成人女性」もいる(例えばフリータなど:なのでモレも発生)のでMECEではない。

「成人女性」をMECEに分類すると「既婚者」と「未婚者」とに分類できる?(離婚した人も今、結婚してなければ未婚だよな…?)

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抽象的なテーマを、より具体化するときに有効なフレームワークです。What(なにを)、Who(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どうやって)という6つの要素で具体的に考えることができます。

STP分析

STP分析とは、市場細分化を表す「Segmentation」、ターゲット層の抽出を表す「Targeting」、立ち位置の明確化を表す「Positioning」の頭文字からSTP分析と言われます。

S(セグメンテーション)とは?

セグメンテーションでは市場を分類して、小さいグループにわけていきます。顧客の行動や課題、ライフスタイルも多様化しており既存の市場分類に縛られず細分化することで魅力ある市場を発見します。

T(ターゲティング)とは?

セグメンテーションで分類した小さいグループから、どのグループを選んでアプローチすべきか決めるのがターゲティングです。

P(ポジショニング)とは?

ポジショニングでは、設定したターゲットに対して、自社がどの位置にいるのかを明確化します。ターゲティングしたグループによって、ポジショニングの切り口はさまざまです。ここで戦略を明確にしておけば方向性がブレにくくまります。

ポジショニングマップ

ポジショニングマップは、ターゲットとなる市場において、各社の商品やサービスがどのような立ち位置にあり、自社がどの位置を目指すのかを明確にするフレームワークです。
まず、顧客が商品を購入する場合に重要視する要素を2つ選び、それをタテとヨコの軸に設定します。次に、競合他社の商品がどこにあるのかをマッピングし、自社商品がどこを目指すべきなのかの検討材料にします。

縦軸と横軸を何にするのかを考えていくと課題も整理されていく便利なツールです。

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーは論理展開をおこなうためのフレームワークでメインメッセージを頂点に置き、その根拠を階層状に置くことで、論理展開を明解にすることができることが特徴です。自分の主張を論理的に構成できることで、矛盾点を見つけやすくなるメリットもあります。

リーンキャンバス

リーンキャンバスは、ビジネスモデルを9つの要素に分けて考えるフレームワークです。

フレームワーク関連書籍

知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100

本書の特徴はフレームワークを「活用用途」ごとに分類してくれているところです。じっくり読み込む本ではなく、デスクに置いておいて課題にぶつかった時に、その都度活用できるフレームワークがないか参照する使い方が最適だと思います。

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まとめ

今回は「顧客課題を探す」手法などを事例などを紹介しながら徹底解説させていただきました。

新規事業を成功させるために最も重要なのが「顧客設定や課題発見」だと思います。

何度も読み返して活用してもらえたら嬉しいです。

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