#01 新規事業を立ち上げるプロセスを徹底解説 | 新規事業を成功させるための8つのステップ

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新規事業立ち上げプロセス

ここ数年、私は新規事業の立ち上げを主たる業務として担当してきました。直近2年は新規事業の責任者として、その前の2年間は別の新規事業でマーケティング責任者として事業の立ち上げに携わってきました。

社会人生20年強を振り返ってみると新規事業や新規サービスの立ち上げなどに携わっていた期間が半分近くになっています。

新規事業に関して沢山の書籍などを読んできましたが今までインプットした知識は実務で使う以外にアウトプットしたりすることはしてきませんでした。

そこで、かつての私のように「新規事業を担当することになったけど何から手を付けたら良いかわからない」と考えている人をイメージして、嚙み砕いて書いていきたいと思います。

この記事を書いた人
シマダオ

大企業の社内起業家。役員会での承認獲得のプロフェッショナル(直近2年間は役員会付議承認率100%)。BizDev時代に担当スタートアップ5社がIPO(株式上場)を達成。専門はマーケティングと交渉業務。

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新規事業とは

私にとっての新規事業

私は新規事業に関するトレーニングや研修などを受けたり、新規事業に関する書籍なども沢山読んできましたが、私の「新規事業に関する知識」は業務での経験から得た知識が中心です。なので、このブログでは私が経験したことを元に体系化してお伝えできればと思います。

私が最初に「新規事業」に携わったのは前職のベンチャー企業(現JASDAQ市場上場)に勤務している時でした。社員数も200人くらいで創業社長とも一緒に仕事をさせてもらいました。今風に言うとスタートアップ企業で既存事業も急成長しているのに常に新しい事業やサービスを検討しているような企業でしたw

私は既存事業の傍ら新規事業のサポートなどを担当して経験を積み、20代後半に新規事業マネージャーとして新規事業の立ち上げ責任者も経験しました。しかし、この時期には新規事業を立ち上げるための知識はほとんどなく役員からのOJTや専門職(法務や管理会計など)のサポートを受けながら事業の立ち上げをおこないました。

担当した、どの事業も私に「もう少し新規事業に関する知識があれば」もっと良い結果になったのではないかと思います。

新規事業立ち上げのプロセス

前置きが長くなってしまいましたが本題に入ろうと思います。

私の経験と書籍などから得た知識をもとに新規事業立ち上げのプロセスを整理すると8つのステップになります。

STEP1 顧客課題を探す

まずは事業(サービス)を提供する顧客(Customer)を定め、顧客が抱える課題を見つけ出します。事業とは顧客の課題を解決し、その対価として報酬をもらうことを継続的に続けることです。ですから「誰の」「どんな課題」を解決するのかを決めることが最初のステップだと思います。

詳しくは下記記事で詳しく解説しますが、STEP1の目標は顧客が対価を払ってでも解決したいと思っている課題を見つけられたかどうかです。

STEP2 課題の「解決策」を検討する

「誰の」「どんな課題」を解決するのかが決まったら、その課題をどのように解決するのか(Solution)を考えます。

詳しくは下記記事で詳しく解説しますが、STEP2の目標はSTEP1で設定した顧客の課題を自分たちが提供する解決策(Solution)で解決できたかどうかです。

STEP3 仮説検証と各種調査・分析

仮説検証

「誰の」「どんな課題」を「どのように解決する」のかが決まったら簡易的な仮説検証をおこないます。検証する内容は自分たちが見つけた課題が「顧客が対価を払ってでも解決したいと思っている課題かどうか」「自分たちが提供する解決策(Solution)で解決できたかどうか」の2点です。

STEP3の仮説検証で目指したいのは「ターゲットとしたユーザから熱狂的な支持を得ること」です。1人でも1社でも良いので「熱狂的な支持」を得られるかが重要です。

もし顧客に課題がない(顧客が課題に感じていないだけ=潜在課題の場合もあるので注意が必要)ようなら、STEP1に戻って顧客と課題を探します。

また自分たちが提供する解決策で課題解決ができていない(もしくは熱狂的な支持が得られない)場合もSTEP2を再検討するかSTEP1に戻って顧客と課題を探します。

こちらも詳しくは「仮説検証のやり方を事例を基に徹底解説」で解説します。

各種調査・分析

仮説検証と合わせて「市場分析」「競合分析」「関連法規分析」などを行います。またターゲット市場セグメントを特定して市場規模を算出したり勝ち筋を検討します。仮説検証では「1人でも1社でも良いので”熱狂的な支持”を得る」ことが重要だとお伝えしましたがターゲット市場を選定するために“熱狂的な支持者”どのセグメントにいるのか検討します。こちらも詳しくは下記記事で詳しく解説します。

※集団やまとまりのこと

詳しくは「新規事業でのTAM、SAM、SOMの試算方法を徹底解説」で説明しています。

STEP4 新規事業企画を整理する

STEP3までが完了したら企業内で新規事業を企画している場合は「事業計画書(事業企画書)」などを作成して役員などから承認を得るためのプレゼンテーションをおこなうことが多いと思います。

STEP2までと「市場分析」「競合分析」ができたら「事業計画書(事業企画書)」作成を求められるケースも多いと思いますが個人的には小規模でも仮説検証をおこなってから「事業計画書(事業企画書)」を作成することをお薦めします。

役員などの承認が得られると「予算」と「人員(リソース)」がプロジェクトなどにあてがわれることになります。

起業などのために新規事業を企画している場合は出資を受けるためにベンチャーキャピタル(VC)や銀行などに「事業計画書(事業企画書)」を提出したり、一緒に事業創出をおこなってくれる仲間をリクルートするためにも整理された「事業計画書(事業企画書)」があると良いと思います。

元同僚(公認会計士)から「事業計画書」でプレゼンされながら創業メンバーに誘われたことがあります。公認会計士なので資金計画やExit Plan(出口戦略と訳されますがM&Aでの株式売却やIPO(株式上場)など)の整理が上手で特にExit Planはとても魅力的でした。

私はVCや銀行から資金を得て新規事業を立ち上げた経験はないので企業内で新規事業を企画して承認を得るコツは下記記事で詳しく解説します。

事業企画書を作るコツ(事例あり)!経営層を納得させるためのポイントを現役イントレプレナーが伝授

STEP5 組織づくり

新規事業の成否は「組織づくり」にかかっていると言っても過言ではないくらい重要です。

もちろん新規事業は「顧客と顧客の課題(ペインポイント)」の設定や「解決策の質」が重要なのですが、その企画を『実行するチーム』をつくれなければ新規事業は立ち上がりません。

ただ企業内で新規事業を立ち上げる際の大きな壁となるのが組織の問題であったりします。

「組織づくり」に関しては下記記事で詳しく解説します。

※「お金を払ってでも解決したいポイント」のこと

STEP6 プロダクト(製品)の開発

STEP5までで「事業計画」「資金」「人員(リソース)」が揃ったら(完全に揃ってる状態ではないと思いますが)、いよいよプロダクト(製品)の開発をおこないます。

STEP6-1 ユーザー体験(UX:User eXperience)設計

プロダクト開発で最初におこないたいのがUX設計です。

私が経験してきたのはインターネット関連サービスがほとんどなのでサービスリリース後にユーザーの利用状況をGoogle Analytics(Googleが提供しているWebページのアクセス解析サービス)などで分析して改修/改善をおこないます。

改修/改善が簡単に行えるので、リリースしてからユーザーの動向を見て改修/改善をおこなう前提ですが、それでもプロダクト開発に着手する前に必ずUX設計をおこないました。前に担当した事業ではIoT製品(IoT:Internet of Things(日本語では「モノのインターネット」と訳されています))を開発したことがあり、IoT製品は工場で生産してもらう必要があり最低発注単位が1,000個~って感じだったので私が担当したサービスで作ったIoT製品は初回発注で数千万円の発注になりました。この手の製品の開発では初期のUX設計がより重要になります。なぜならインターネットサービスのように簡単には改修/改善がおこなえないからです。

STEP6-2 プロダクト(製品)仕様設計

先ほど紹介したIoT製品では、まずプロトタイプ(製品の原型あるいは試作品)を作って仕様をつめていくフローなどがありますがインターネット関連サービスだと「画面遷移図」や「ワイヤーフレーム」などで仕様をつめていきます。

STEP6-3 開発

インターネット関連サービスでの新規事業開発では厳密な仕様を決めずに、だいたいの仕様だけを決めて「開発途中に仕様や設計の変更があることは当たり前」という前提の開発手法である「アジャイル開発」などを活用したりします。

アジャイル開発とは:アジャイル(Agile)とは、直訳すると「素早い」「機敏な」「頭の回転が速い」という意味です。アジャイル開発は、システムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつで、大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進めていきます。従来の開発手法に比べて開発期間が短縮されるため、アジャイル(素早い)と呼ばれています。

新規事業では事業検討初期からエンジニアやデザイナーにも参加してもらうと成功確率が格段にアップすると思います。私はユーザーインタビューやクライアントへのヒアリングにも同席してもらい顧客/課題の検討、ソリューションの検討、UX設計などにも参加してもらいました。

アジャイル開発では企画職と開発職が役割分担をしすぎると上手く回らない気がします。

STEP6-4 サービス提供フロー設計

サービスを提供するために「人」「物」「お金」などが、どのように配置されるのかを整理します。インターネット関連サービスだと「人」や「物」が動かないケースもありますがIoT製品の例では製品を保管しておく場所、注文が入った後の物流体制の整理、故障が発生した場合の対応整理などなど細かく取り決めました。

STEP7 コミュニケーション戦略の立案

ビジネスでは「適切な顧客」と「その顧客にとって重要な課題」を特定して「課題を解決できる製品」が出来たとしても成功するとは限りません。

自社の商品・サービスを購入してくれる可能性の高いターゲットユーザー層に対して、どのように商品・サービスの魅力を訴求し、ターゲットユーザーに認知、購入してもらうのかをまとめます。具体的には、どのような価格設定にするのか、どこで売るのか、どのようなプロモーションを行うのかなどを整理します。新規顧客の獲得戦略だけでなく、リピート顧客の獲得戦略なども加えると理想的です。

「メディア戦略」「営業戦略」「販促戦略」「チャネル戦略」などを統合的にまとめたものです。

下記記事で詳しく解説します。

STEP8 KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)の設定

KPI(重要業績評価指標)とは

KPIとは「目標を達成するためにプロセスが適切に実行されているかを管理・評価する指標」のことで、目標値からギャップが生まれた場合には、事業として課題を抱えていることを意味するため課題を洗い出して改善策を打つことができます。

KPIの設定方法

1.KFS(Key Factor for success)を特定する

KPIを設定するには、まずKFS(Key Factor for success)日本語で言えば「事業を成功させるためにキーとなる要因」を特定する必要があります。

2.「Indicator」を設定する

「Indicator」とは、日本語では「指標」などと訳されます。例え「事業を成功させるためにキーとなる要因」を特定できたとしても、適切な「指標」を設定できなければ目標の達成水準がわからずPDCAを回すことができません。

3.KGI(Key Goal Indicator)を設定する

KGI(Key Goal Indicator)は日本語では「重要業績評価指標」「経営目標達成指標」などと訳され、企業の経営戦略やビジネス戦略を達成するうえで何をもってゴールとするのかを定める指標です。

4.KPIを管理・活用する

私はKPIを設定したら(いや、KPIを特定するために)KPIツリーを作成します。

※KPIツリー:KGI(Key Goal Indicator)を頂点にKGIとKPIで構成されたツリー

KPI・KGIに関しては下記記事で詳しく解説します。

まとめ

今回は新規事業を立ち上げるプロセスを俯瞰的に紹介しました。次回からステップごとに詳しく解説していければと思います。

あっ、あと参考になる書籍とかも紹介しますかね。

今回は私が新規事業に関連する書籍で1番多く読み返しているであろう本です。この本は「リーンスタートアップ」の提唱者、エリック・リース(Eric Ries)さんの著書です。

「リーンスタートアップ」に関しては下記記事で詳しく解説します。

リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす/エリック・リース/井口耕二

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